第11話 side Nico
電車内で碧生くんと別れ、家に帰ってきた。
駅から家まで歩いていると碧生くんからメッセージとともにさっきの写真が送られてきた。なぜかドキドキして恥ずかしくて勿体無い感じがしてすぐにメッセージを開けられなかった。開けたくてたまらなかったけどとりあえず気持ちを落ち着かせようとお風呂に入ることにした。
リビングのソファに座り、深呼吸しメッセージアプリを開く。
『今日はありがとうございました!めちゃくちゃ楽しかったです☺︎』
と一緒につけられた写真。画面をタップして大きく表示する。
わたし1人でめちゃくちゃ笑顔で、碧生くんははにかんでる。
それと確認すべきはわたしの肩に添えられた手。あのとき碧生くんに抱き寄せられた。わたしが彼氏発言したから、売り言葉に買い言葉的な?錯覚したと言われたけど、そのあとはお互いなにもなかったようにしてたけど、わたしは別れるまでドキドキがずっと止まらなかったよ。
そもそも、どうも思ってない人を抱き寄せる?
わたしのこと好きなのか。いやいや、さすがに年上すぎるような。大学卒業したての子が30間近のわたしを好きになることを考えるだけで図々しい。
「おっ、彼氏?」
自問自答しているといつの間に背後にいた妹の寧々に背後から見られ、スマホを取り上げられた。
「ニヤニヤして何を見てるかと思えば。」
「返してよ。」
寧々はダイニングチェアに立ち、スマホを取り返せないようにする。
子どもか。
「ヤーダー。え、めちゃくちゃかっこよくない?ってか年下?」
やっぱ見るからに年下だよね。
「彼氏ではない。」
「え?誰なの?彼氏じゃないのにこの近さ。肩に手回してるのに?!」
「教えない。」
「教えないならこのまま写真をお母さんたちに拡散しよ」
「あー!うるさい。店の同僚。」
お母さんたちに拡散とかなんという技を持ってるんだ。
「名前は?」
「なんでそこまで教えないとなの?」
「よし、お母さんとお父さんのメッセージに。」
「碧生くん。」
「ほっほーかわいい年下イケメンですね。好きなの?」
「そんなんじゃないって。5才も下だよ。」
「年なんてどうでもいいじゃん。あたしなんて今7才下の彼氏だよ。」
寧々は今25才。
「7…7才って、彼氏って高校卒業したばかりじゃん。」
「うちのかわいい年下イケメン見て。」
寧々が自分のスマホの待ち受けを顔の前に押し付けてくる。たしかにまだ若い。というか子ども?
「どこで知り合ったの?」
「あっちからナンパ。で、お姉ちゃんはアオイくん好きなの?」
「え!?」
顔が熱くて絶対赤くなってる。寧々がそんなわたしの表情を見逃すはずもなく、
「ほっほー。今度店に行っちゃおうかな。はい。」
と言って投げてスマホを返してきた。
「絶対来ないでよ!」
なんでリビングでメッセージを確認してしまったのか…寧々にバレるなんてあってはならないことなのに。
寧々が2階に行ったことを確認して、もう一度写真を見る。アルバムに保存して、なにやってんだと思いながらもお気に入りのハートをつけた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます