無根拠な自信 〜前編〜
帝都に着いた俺は試験会場に一番近い宿まで向かった。
しかし、同じことを考えていた人は他にもいたようで、既にそこには空室がなかった。
仕方がないので別の安宿を探し、そこで英気を養った。
翌日、会場に入ると既に30人以上の受験者が集まっていた。
毎年50人前後が申し込んでくるので、おそらく後から20人ほどやってくるのだろう。
受付で本人確認を行い、筆記試験が行われる部屋まで案内される。
昔、大学受験をしたときと同じ緊張感に襲われる。
いつのまにか手汗でにじんでいる。
―――大丈夫だ。師匠が用意してくれた過去問は何度も解いた。
―――やれるだけのことはやった。自分を信じろ。
深呼吸を繰り返し、何度も言い聞かせる。
問題用紙が配られ、ついに試験が始まった。
序盤。
薬草や魔物の名称などを答える問題。
何度も書いて覚えていたのでスラスラと記入できた。
しかし、中盤に入ると……
―――なんだこの単語?どういう意味だ?
―――文章に違和感が……ひょっとして俺が知らないだけでこういう文法もあるのか⁉︎
問題文を解読できないことが多くなってきた。
そのことについ焦ってしまう。
焦りがケアレスミスを生み出し、それに気付いて慌てて訂正。
そして……。
『時間になりました。解答をやめてください』
時間配分を誤ったこともあり、多くの空白を残した答案用紙が試験官に回収されていった。
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