第7話 反省

 目が醒めると、目を閉じた場所ではなく何処かの家のようである。

 ふと窓の外を見ると既に太陽が顔を出している。

 朝を迎えてしまったようだ。


「うぅ、フラフラする……」


 身体が重く、寝起きの割にはやたらとだるい。

 そういえば軽く目を閉じてホッとした瞬間に意識が飛んでしまったような……。

 ここに誰か運んでくれたということか。


「ほう、目が醒めたか」

 お父様がドアを開けて入ってきた。


「おはようございます。昨夜はいつの間にか寝てしまってすみません」

「昨夜ではない。レレーナは二日間寝ていたのだからな……全く、無理をするなと言ったのに」


 二日間も寝ていたことに驚いてしまった。

 これであの日以来二度目か……。


「二日間も眠るとは……無理したな?」

「皆さんが頑張っているのに、聖女である私が一番頑張らないといけないと思いまして……」


 お父様の怒っている表情が変わらない。


「いいかレレーナよ。もうここはデイルムーニではない。今までの聖女としての考え方は捨てるように!」

「え……?」

「あんな使命など守る必要はない。それにここは新国家だ。聖女だろうが民衆だろうが皆平等にする!」


 なぜかはわからないが、お父様の発言を聞いて今までのしかかっていた重みが消えたような気がする。

 だが、今まで埋め込まれていた使命感をいきなり消すことは出来ない。

 一昨日みたいに『疲れ切る前には仕事を切り上げる』ということだけは守ってみようかと心に決めた。


「ところでお父様がここへ運んでくれたのですか?」

「いや、俺は腰痛持ちだからな。ちょうど近くに馴染みのある奴がいたからそいつに頼んだ。この部屋もそいつの家だ」


 改めてよく見渡してみると、私もこの部屋に何度か入ったことがあるような気がする。

 まさかじゃないとは思うが、私の嫌な予感とはこういうときに限ってよく当たるものだ。


「まさか幼馴染の……」

「剣士レオンハルトの部屋だ」


 全身に鳥肌が立ってしまった。


 私の幼馴染で、剣士としては実力が圧倒的だ。

 一人で要塞国家の外に出てもモンスターをソロで倒せるくらいの強さを誇り、リンドバレルの有名人である。


 だが!!!!

 強いことを理由に女遊びが激しい最低最悪の変態男なのだ。

 こういう女遊びが激しい男が大っ嫌いなのである。


「よう。久しぶりだな!」

「げ……噂をすれば……」

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