06


兄や姉たちはもうとっくにこの家から巣立って行っている。

自立させることを目標にしていたお師匠様は彼らの旅立ちを大いに喜んだ。


そして、最後に残ったのが年少者の私。

今はお師匠様と二人暮らしをしている。


日中は診療所のお手伝いをしていて、簡単な治癒魔法とか簡単な調合とかを任されているくらいにはお師匠様に信用されていると自負している。


ここは村のはずれでちょっと不便な場所だけど、お師匠様の腕の良さが口コミで広がっていつもたくさんの人がお師匠様の薬を求めてやってくる。


お客さんに対しても口が悪いんだけど、それでも皆ここにくるのは信頼の証。

お師匠様はやっぱりすごい。


「お前……体調大丈夫か?」


「え?何で?元気だよ」


「ならいいが」


私は首を傾げる。


「お師匠様、私を心配してくれてるの?」


「ああ、お前の頭を心配しているんだ」


「ちょっと、それどういう……」


「いいからさっさと朝飯食え。もう開店の時間だぞ」


「やばっ」


私は大慌てで朝食を流し込んだ。

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