04


私とお師匠様の出会いは十年以上前に遡る。

魔王が世界征服を狙い世界を混沌の闇に落とした頃。


親を亡くすもの、子を亡くすもの、友人を亡くすもの。

人々は恐怖に怯え、なす術もないように思われていた。

けれど突然、勇者率いる一組のパーティーが現れたのだ。

その中の一人が大魔法使いであるお師匠様だ。


長きに渡る戦いの末、勇者たちによって世界は護られることとなる。

そして勇者率いるパーティーは解散し、お師匠様も故郷に戻る途中、私とお師匠様は出会った。


正確には、『私たち』と言った方が正しい。

私のいた村は、魔王の手先によって焼かれてしまった。

親も殺され、生き残ったのは先に逃がしてもらっていた子ども数人。

子どもだけではどうすることもできず、とにかく日々を必死に生きていたあの頃。


『お前たち、家がないのか?』

『ない。親もいない』

『村も焼かれた』

『お腹すいた』


口々に訴える私たちをお師匠様は悲痛な面持ちで見ていたのを覚えている。


子どもの中で一番年少だった六歳の私は、自分で食料を集めることもできず毎日おこぼれをもらっていただけ。

だからか体力があまりなく、気分さえ悪かった。


『おい、お前大丈夫か?』

『……だいじょうぶくない』

『ずいぶんやつれているな』

『やつれ……なに?』

『なんでもねーよ。ほら、これでも食っとけ』


そのとき口に含ませてもらったもの。

とても甘くて、この世界にはこんなにも美味しいものが存在するのかと思った。

だけど少し懐かしい気持ちもあって――。

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