03
◇
小さな村の山の麓にちょっとボロくて狭い二階建ての家がある。
一階は仕事場、二回は居住スペース。
玉子の焼けるいい匂いに誘われて私はキッチンに顔を出した。
「お師匠様、おはよぉ」
「おお?やっと起きたか、寝坊助」
「寝坊助じゃないよ、お師匠様が早すぎるだけでしょ」
私はギギギっと椅子を引き座る。
すぐにできたてのオムレツとロールパンが目の前に置かれた。
「さっさと食っちまえ」
「はーい、いただきまぁす」
口の悪いお師匠様は私の前にどっかり座ると、自分もモソモソと食べだした。
「美味しいっ!」
「そりゃよかったな」
満面の笑みの私と対照的にお師匠様はクールに笑った。
その顔はいつ見ても格好いい。
銀色で細く流れるような髪は肩より長く、ひとつで結わえている。
美しく整った容姿は、昔から変わらない。
口の悪さもぶっきらぼうなところも、だけど本当はとっても優しいところも、出会った頃のまま。
『ローサ』
低くて落ち着いた声で名前を呼ばれると胸がきゅんっとなる。
いつからかわからないけど、私はお師匠様に恋をしていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます