02


私は扉の前に手をかざす。

鍵という名の結界が張ってあることはわかっているのだ。

結界を破る魔法、物質の無効化、それらを頭の中でイメージして手のひらに力を集中させる。


ぽうっと淡い光が出現し、次第に大きくなった。

「よし!」と気合を入れたとき、不意に扉が開いて私の魔法は一瞬で消し去られた。


「あっ」

「何やってんだ、お前」


冷ややかな目で私を見下ろすお師匠様。


「……お師匠様に夜這いをかけにきたんだけど」


「バカかお前は。部屋をぶっ壊す気か。さっさと寝ろ」


一蹴され、さらに強力魔法で部屋まで吹き飛ばされた私。


「あーん、お師匠様の意地悪ぅぅぅ」


私の悲痛な叫びはお師匠様に届いたのかどうか。

今日も空しく夜の闇に消えていった。

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