第9話 黒幕

 バスに乗って一時間、ようやく、村に着いた。


 「今日は宿を取って休みましょう」


 バス停の前に民宿の看板が見える。おんぼろで今にも潰れそうであった。


「事前に調べて予約済みよ」


 流石、お姉ちゃん、用意が良い。


「温泉は無いの?この疲れた体は熱いお湯を求めているぞ」


 はいはい、卓球でもして気分転換しましょうね。贅沢なあかに対して卓球台を見つけたのであかねを誘う。それから、一回対戦すると普通に負けた。


「違う、ここには遊びにきた訳ではない」

「ぷぷぷ、負け惜しみですね」


 勝ち誇ったあかねは放置することにした。でだ、わたしは再び例の番号に電話をかける。


『こんにちわ、わたしはこの地区の長です。市町村合併で村長の代わりの長です。早速ですが神社に来てください。『鳥の使い』待っています』


 数十分歩くと小さな神社が見えてきた。境内に入ると静まりかえっていた。うん?お姉ちゃんが苦しそうである。呪いの効力が強いのかもしれない。


 すると、能面に白髪で着物を着た者が現れる。


「僕が『鳥の使い』だ。さて、このまま幼女を喰らうもの良いかがそれではつまらない。長を呼び、その目の前で喰らってくれよう」


 『鳥の使い』はスマホを取り出して長と青年団を呼ぶ。


 そして老人と若いのが現れた。


「何故、生贄などと言う非人道的な事をする?」

「仕方ないのだ、無病息災の為には生贄を使ってきたのだ。そして、この『鳥の使い』様は神様への伝達係なのだ」

「昔は鳥を使っていたから『鳥の使い』で、今はスマホを使っていたけど、神様にスマホで繋がれば、その人必要なの?」


「はい?」


 あかねが何か痛い所を突いたらしい。確かにスマホで神様に伝わるなら『鳥の使い』は要らない。


「あれれれ、何か不穏な空気になっているけど」


 焦る『鳥の使い』は逃げる準備を始める。


「まて、お姉ちゃんにかけた呪いを解け」

「違う、違う、呪いは青年団が仕掛けたのだ」


 皆が『鳥の使い』に冷たい視線を送る。


「ひいいいい、逃げるが勝ちだ」


 『鳥の使い』には逃げられてしまった。

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