第4話 梅雨の日常
雨である。季節は夏本番前。いわゆる、梅雨であった。
一限の授業が終わり。廊下に出て外を見ようとベランダに向かう。
ガチガチ
あれ?ベランダに出る為のガラスの扉が開かない。通りかかる。先生に聞くと。
「あ、それ、安全の為に出入り禁止になった」
何を言っているのか、最初は理解できなかった。何故ならベランダには肩を超す柵があったからだ。
あー気分が滅入るな。なんでもかんでも禁止、禁止。そんな事を考えていると、お姉ちゃんが寄ってくる。
「へー高等部の校舎には色々あるな」
丁度いい、ここは大人の意見が欲しいところであった。
「お姉ちゃん、高校生は子供なの?」
わたしの問に固まるお姉ちゃんであった。そう、子供なのである。体は大人に近くなるが扱いは子供である。わたしはガラス越しの梅雨の空を眺める。はーあ、教室に戻ろう。
「お姉ちゃん、一緒に戻る?」
「はいな、慶太ちゃん」
中等部の教師から幼女化して高校生をしている。お姉ちゃんは悩みが無くていいな。
「お姉ちゃんは幼女化して楽しい?」
また、固まる、お姉ちゃんであった。しかし、顔はヘロヘロしているので楽しいのであろう。
「あ、あかねの持ち物検査を忘れた」
あかねはZ指定の物を学校に持ち込むのだ。なんだか、あかねが一番大人に思える。
***
放課後、なんだかモヤモヤする。梅雨による憂鬱かもしれない。ここは寄り道でもするか。午後になり、雨は止んでいた。自転車通学での寄り道には都合がよかった。そして、何故が付いてくるあかねも居ても問題はない。行先はファミレスであった。
それから目的地に着くとファミレスの中に入る。お客は少なく快適な寄り道となりそうだ。
さて、何を食べよう。
「お子様ランチ」
お、お、お姉ちゃんは何故、暴挙するのだ?
「お子様がお子様ランチを食べて何が悪い」
やっぱり、幼女化を楽しんでいる。ま、三十路近くの大人は食べられないな。
「では、わたしもお子様ランチを食べよう」
あかねがメニュー表をみて呟く。お前は問題ない。あかねだもの電波なことは許される。
わたしはパスタでも食べるか。そして、テーブルの上にはお子様ランチが二つ並び、カルボナーラのパスタがある。
そうだ、この光景をSNSにアップしてみよう。えーと、イイネが一つと。少し泣いていい?
そんなことをしていると。二人はガツガツと食べ始める。
「足らん、山盛りポテトを頼むぞ」
あかねが切れた様子で注文する。しかし、平和だな。
でも、何だろう、この胸騒ぎは……。
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