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「……おはよう、祷」

「――ああ、う、上栫さん」

「どうだ?」

「……何が?」

「目覚め」

「上栫さんみたいな子と添い寝してるんだ、最高だよ」


 邪神ハーレムからの上栫さんとの添い寝は、それはもう格別なものだ。緩急どころではない。


 胸がいっぱいで泣きそうだ。


 そのせいか、とても恥ずかしいことを口走った気がする。


 ……速やかに話を進めよう。


「そ、それで、あの後どうなったの?」

「発狂した祷が『意識の泉』を通じて、全人類を旧支配者たちと繋げようとした。それを私と降旗明星、入交与で止めた。さながらリアルTRPGと言ったところだな。割と人類滅びかけたぞ」


 僕がそんな役どころになるとは……どんな並行世界でも、与の関与がなければあり得ないことだろう。感謝はしないが。


 気になるのは、悪に染まった祷因果の顛末だ。さて、哀れなNPCを助けてくれるプレイヤーはいたのだろうか?


「旧支配者たちから受けた祝福によって、人知を超えた存在になった祷を、降旗明星が抑え込んで、私が入交与が作った特殊な縄を使って縛り上げた」

 

 上栫さんはともかく、降旗先輩が『殺す』という手段を取るわけも、承認するわけもない――『意識の泉』関連を除く――。与も『殺す』選択肢はない人間だが、あいつが降るダイスの目は、最低か最高しかない。


 今回は降旗先輩の徳のおかげか、上栫さんの主人公補正か、いい方に上ぶれてくれたようだ。下ぶれていたら、二人の能力が干渉する暇もなく、全人類と旧支配者たちが邂逅をはたしていたことだろう。


「いや――もう本当に、申しわけない。与が面倒をかけた」

「いや、発狂した祷が悪い」

「…………」


 まぁ、確かに暴れまわったのは僕なのだが、何回超弩級のSAN値チェックしたと思ってるんだ。


「冗談だよ。だが、入交与が全面的に悪いと考えているのなら、祷はやはり悪いよ」


 布団の中の上栫さんは声色低く言って、眉根を寄せた。


「どういうこと?」

「今時、鈍感系は流行らないぞ。苛つかれるだけだ」

「いや、鈍感系というか、忘れているだけというか」

「だったらなおさら質が悪いよ。女子にあんなことを言っておいて」

「……えっ?」

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