作戦会議その2

 目が覚めた瞬間、僕の体はスマホで日付を確認しようとする――が、今回も今回とて、布団の中に上栫さんがいたので、しなくてもいいルーティンを完遂できなかった。


「祷に報告するようなことはなかったが、降旗家はこれからも掘り下げていく」

「……うん」


 寝ている男の布団に入ってくる人に、変態扱いはされたくないと言いたいところだが、僕にそういう意識がない前提故の変態的行動だろうから、言わないでおく。


 彼女を意識しているのが透ける。


 ここにきて新しい知見を得た。


 性欲と愛欲は違う。


「今日はもう一人の候補に会いたいところだが、どうだ?」


 僕とは違い、上栫さんは目的に一直線、うずうずという擬音が聞こえてきそうなほどだ。


「もう一人は……会えるには会えるかな」

「含みのある言い方だな」

「降旗先輩はトラブルに自分から向かっていくタイプのトラブルメーカーだけど、もう一人は存在がトラブルだから、運が悪いと情報を集める暇もなく、対応に追われる」

「なるほど」

「家に籠ってるか、僕に発明を見せに来るかの二択だから、会えないことはない。ただ、発明が完成しているのなら、中々に面倒だよ」

「なら、前者であることを祈ろうか」


 多分、後者なんだろうけど。

 布団の中で、声が重なった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る