第3話 牛野小雪さんに以前書いていただいた書評。

 久しぶりに牛野小雪さんに書いていただいた書評を読み返しています。

小説のタイトルは『皆殺しの歌』です。


 この書評、とても気に入っています。

 何度も読み返しています。


 物語は直人、敬子、筒井の3本のラインがありますよね。

 まず敬子だと兄との近親相姦の関係と達也の関係があって、そこに直人と筒井が絡んできます。


 ここで彼女はめちゃくちゃにされるんですが、この前に兄と達也の描写があれば落差があって良かったと思います。


 筒井ですが途中まで詳しく書かれていたのに最後がちとあっけなかったように思います。


 また直人も後半になっていきなり悪者にされた感がなきにしもあらず。

 また筒井や敬子に押されて存在感が薄い気がしました。


 三人共に共通するのはやけに死に際があっさりしていることです。

 もっともっとあがいて、それでも結局ダメで、自分の力ではどうにもできないと

観念するところまで書けばもっと引き込めるのではないかと思いました


 私の勝手な見方ですが婆雨さんは中盤のドロドロした息苦しい展開から終盤のスルッと抜け出す逸脱が持ち味だと思います。


 それも正面からぶつかって穴を開けるというよりは、脇道の穴へ不意に落ちていくイメージ。そこには一種のカタルシスがありますよ。


 言いたかった事はその落差をもっと深くしてはどうかということなんです。

 それには最初に上げるか、穴を深くするか(オーロラの夜明けみたいに反対にしてもいいですが)。もちろんその両方をするのが一番です。

 

 婆雨さんならきっとできますよ。

 いつか凄いのがでると予想しています。

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