第18話 今から一週間、竹嶌さんと共に
テンション高いなあ帯野さん。
本来であれば彼は年下だから呼び捨てでもいいのだが、相手はスキルホルダーだからなあ。
「あちらに場所を用意してありますし、準備は既に整っていますよ!そして竹嶌さんにも岩ケ谷さんと同じようにやってもらいますから!さあ!」
以前から言っていた何かの実験。
具体的にどうするかは知らないんだが、本を書き写した行動も一連の何かなのだろうか。
俺はテンションマックス帯野さんに続いて用意された部屋へ向かった。
・・・・
・・・
・・
・
「岩ケ谷先生!」
竹嶌さんは先に部屋にいたようだ。
そして何故か俺にダイブしてきた!思わずそのまま彼女を抱きしめてまったが・・・・どうしたんだ?嬉しいが。
「本当に治ったの?」
「あれから2週間経ったんだったか?念の為にこうした措置をしてくれたと思うが、御覧の通りすっかり治った。それより竹嶌さん、やつれたんじゃないか?」
「帯野さんってなかなかスパルタだから、慣れない書き写しは正直きつかったわ。それより・・・・女性の匂いがする・・・・誰か抱いたの?」
「抱いたって・・・・ここ数ヶ月の間に抱いた女性って・・・・今こうして抱きしめている事案だけだから!」
「そうなの?先生もてるでしょ?」
「・・・・それ嫌味か?」
そこでキョトンとされてもなあ。で、2人の女性も一緒にいるが、何かひそひそしている・・・・女性2人・・・・名前なんだっけ?
「竹嶌さん!実験が成功すればパートナー登録を岩ケ谷さんに変更しましょうね!」
「そうよそれがいいわ!実験が終われば部屋を借りておくから思いのたけをぶつけてくるといいわ!私達2人もそうだけど・・・・まだ駄目なの?」
俺はこう言った会話に鈍感じゃない。だが18歳の女性がしていい会話に聞こえなかったのだが。
「卒業するまでは2人共駄目だよ。今は特殊な環境だから思考能力が変なだけだし、もう暫く落ち着いて判断してほしい。」
「もう3年我慢しているのよ?」
「そう、3年余年下でも既に子を得ている女性もいるんだから!私も早く・・・・」
これ以上はまずいと思い、俺は竹嶌さんを引き剥がし帯野さんに声を掛けた。
「で、いよいよ実験ですか?何をするんですか?」
俺がそう言った瞬間、2人の女性が黙った。
そして何やら扉を閉めている。
「今から1週間、ひたすら・・・・1000回同じ行動を行っていただきます。時間制限は開始から1週間きっかり・・・・6日と23時間ですけれどね・・・・その後【適性検査】を受けて頂きます。」
いや待ておかしい。
適性検査?
あれは15歳のとき一度きりの奴だろう?
「あ、ご心配なく。学園にもあるんですよ。尤も用途は魔力測定に用いていますけれどね。」
だからと言って装置を動かすのには結構金がかかると聞いている。
「何故そんな事を?」
「以前、僕がスキルを得た経緯、伝えた事ってありましたっけ?」
「伝えたって・・・・本の事ですよね?それに竹嶌さんから少し聞いています。」
「ああそうだった!岩ケ谷さんが治療中に、竹嶌さんに話していたんだった!ええ、あの本に書いてある事を実践したんですよ。その結果0.1%が100%になったんですよ!さあ早速開始です!一応狙いは複製と修復ですよ!」
何の事だかいまいち分からんが・・・・あれ、俺も知っている地下伝説の話だろう。
単なるネタだと思っていたんだが、あれでスキルを本当に得られるのか?
ちなみにこの間にも竹嶌さんは俺の手を握ってくれている。
どうしたんだろう。
俺が怪我から回復してからと言うもの、彼女は妙に俺にくっついてくるんだが。
今まで男性として行動していたから、身近にいる男性との距離を掴めていないのか?
まあ彼女は美人だし、しかも超絶俺好みだから嬉しいんだが、だからと言って別に竹嶌さんが俺の事を異性として好いてくれていると勘違いしてはいけない。
それに8歳も年下だからなあ。
「どうやら1週間、頑張らないといけないらしい。短いようで長い期間だが、お互いいい結果が残せるといいな。」
「ええ岩ケ谷先生。」
このまま帯野さんの言う通りスキルを得られたら・・・・そして竹嶌さんという美女とお付き合いが出来ればこの世の春だが、そう上手くいかないのが人生だからなあ。
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