第7話 実践あるのみ
俺は帯野さん・・・・年下だが相手はスキルホルダーだ。
間違っても呼び捨てにはできない。
帯野様と言いたいが、断じて駄目!と言われてしまった。
「いくらなんでも年上の方に様付けで呼ばれるのは何か違うと思うんですよ。」
スキルホルダーって何というかもっと威張り散らしたりとか、俺は選ばれたエリートだからって上から目線?と思ったが、帯野さんは違う。
そうそう、頼まれごとだった。
先ずは普通に活動してほしいって事だが、既に渡された本があり、その内容に沿った活動を推奨するとか。
さらっと目を通したのだがスキルに違和感を覚えた。
つまり変なのだ。
何が変って、俺が学んだ使い方と、本に記載してある使い方の違うスキルが多いって事だ。
これはちゃんと読まないといけないな。しかも本当かどうか試す必要がある。
貴重なカードで試す事は難しいが、知識は頭へ入れておくとして今やっておいた方がいいのがよく使う、そして流通しているお手軽な値段のカードだ。
こうしたカードはスキルホルダーの人数が多いので、相対的に出回りやすい。
本は1ヶ月後に返す事となっている。
まず俺が実践し、次に竹嶌さんに渡すらしい。
尤も俺が竹嶌さんと会って2人で色々と協力し合うのは大歓迎だとか。
「こう言っては何ですが、2人はお似合いだと思います。」
うーん、年齢差が8歳ほどある上に、実力はあっちが断然上なんだよなあ。
容姿も俺は冴えないし、背も男としては高くない。
それが彼女はどうだ?
顔面偏差値(すまん!これしか思いつかなかった!)は限りなく高い。
好みもあるだろうが偏差値でなく100点満点だったら絶対90点を超える!
注:女性の皆様、不快な思いをされましたらごめんなさい。
主人公視点ですのでどうかご了承を。
それに結構鍛えているようで、無駄な肉がないように見える。
だからと言って女性らしさは失われていない。俺は今まで何を見ていたんだ?
いかん!また暴走してしまった。
先ずは今回出会った3人のスキルホルダー、彼、彼女達の所持しているスキルから試そう。
3人とも微妙なスキルと思われているが、本の内容と帯野さんの話を信じるならばかなり有用で、尚且つ恐ろしいスキルだ。
・・・・
・・・
・・
・
直接触れる事ができる魔物を考えると、やはり外骨格のある昆虫だろう。
竹嶌さんもヘラクレスを抽出スキルで仕留めたと言っていたしな。
出来ればクワガタでは無くカブトムシの方が良い。
何故って?カブトムシ、多分ヘラクレスになると思われるが、角さえ避ける事ができれば何とかなるからだ。
だがクワガタムシは厄介だ。
万が一顎に挟まれでもしようものなら、あっという間に俺は2つになる。
それは避けたい。
で、ヘラクレスがよく出現すると言われている辺りにやってきたが・・・・
探して見つかるものではなさそうだな。
雑木林に向かうが、どうなのか?
普通ヘラクレスオオカブトは15センチぐらいの大きさだ。
だから木にくっついていても、木の上にいれば10倍の全長だとどうなるか?
1.5メートル。
若いクヌギの木はすぐにわかるな。カブトムシはクヌギの木にいるという事だからこうしてきた。
はっきり言ってナラとクヌギ、俺には見分けがつかん。
分かるのはドングリだ。
クヌギは丸い。
幸いな事にドングリは沢山落ちていて、丸いどんぐりが沢山ある場所にクヌギはあるはず。
で、俺は周囲を・・・・油断していた。地面ばかり見ていたからだ。
何か音がした気がしたので咄嗟に伏せた。
警戒を疎かにしていたので対応が遅くなり、背負っていたリュックにヘラクレスの角が突き刺さり、そのままクヌギに突き刺さっていた。
俺は急いでリュックを・・・・駄目だナイフで切らねば。
ナイフでリュックの背負う部分を切って脱出した。
俺は急いで【抽出】スキルを使おうとカードを探す。
あった。早速【抽出】スキルを発動させる。
そのままヘラクレスに触れ、【外骨格を抽出!】と念じてみた。
対象物に触れ、念じると抽出できるらしい。
すると足元に何か落ちてきた。
ヘラクレスの角は木に刺さったままだ。
だがそこまで。他の外骨格も地面に落ちていく。
そして見ると何か見た事の無い生き物が地面をのたうち回っている。
見た事は無いが、これは外骨格を失ったヘラクレスなのか?
俺は落ちている外骨格の一部を手にし、のた打ち回っている中身?を思いっきり殴った。
ヘラクレスの外骨格は素材として重宝される。
それは硬いからだ。
その硬さはスキルを発動させている剣すらなかなかダメージを与えられないほどだ。
だが目の前でのたうち回っているヘラクレス(の中身)をあっけなく仕留める事が出来た。
残されたのは綺麗な外骨格が一そろいだ。
だが角を回収するのは一苦労しそうだな。
俺は初めてヘラクレスを単独で仕留める事に成功した。
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