第6話 俺には縁のない世界と思っていたが
俺は4人に見守られる中、裸という事に気付くのが遅れた。
別に裸を見られても構わないし、そもそもベッドから起き上がった状態だからシーツで下半身は隠れているし、ギリギリセーフだろう?
目の前に居る元教え子の竹嶌君・・・・竹嶌一樹さんは現在20歳。
今後は女性ハンターとして活動するのだとか。
で、俺に何をしろと?既にパートナー登録をしているから俺は手出しをできん。
そもそもそんな甲斐性がハンターにはないのだが。
甲斐性というより時間だな。
それより俺は困惑している。目の前にいる竹嶌さんは見目麗しいのだ。
今まで知ってはいたが男として扱われてきていて、素顔も知らなかった。
そりゃあ背が低いからそう言った目で見ればわからなくはないのだが。
そして問題はもう1つある。
3人のスキルホルダーだ。
男性は現在最上級生で、
そして2人の美少女も最上級生でそれぞれ
それぞれ【凝固】スキルと【収納】スキルなのだとか。
俺に教えてどうするつもりだ?
因みに全員18歳。
そしてスキルホルダーがどれほど貴重で優遇されているか、そして雇用を生んでいるのか。そしてそれ故に自由な行動が許されないと言う。
まず彼等1人につき、凡そ100名が関わるらしい。
常に10名程の護衛が数十メートル離れた場所にいるそうだ。
この護衛、身の上を世話する役も兼ねているとか。
ただしそっちのは違うらしい。
そっちってあれだ、スキルホルダーに課せられた責務である子作り。
これはかなり羨ましいと思うのだが、実際相当疲れるらしい。
1日数人を相手にせねばならず、しかも衆目のある所でこなさねばならないとか。
それはそれできついな。
それにお相手は厳しい検査を受け、2週間程管理下におかれ、当日を迎えるそうな。
妊娠の可能性が高い日にしないと意味がないし、病気持ちは厳禁。
俺には縁がない。
ああ、そっちは違うと言ったが、それでもお手付きをするスキルホルダーはいるらしい。
殆どの職員は若い女性だからな。
「実は岩ケ谷さんには少々実験に付き合っていただきたいのですよ。」
突然のお願い。
内容次第と言いたい所だが、スキルホルダーのお願いを断れるはずがない。
下手をすれば犯罪者となる。
おかしいだろうが実際そうなのだ。
それがスキルホルダー。
俺達使い捨てのハンターと違い、それだけの価値がある。
「はあ、私なんかで役立つのですか?」
「ええ、これも何かの縁です、本当は岩ケ谷さんだけにしてもらおうと思ったのですが、ここに居る竹嶌さんにも同様な事を行ってほしいのです。あ、変な事はしませんよ?」
一瞬竹嶌さんを見てしまった。
今は女性の衣類に身を包んでいるから意識してしまうが、ハンターとして鍛えられた身体は無駄な肉が無い。そうは言っても女性らしさはある。
何を言っているのかもう訳が分らなくなった。つまりは今まで装備で上手く体型を隠していたって事だ。今はほっそりとした、しかも腰の位置がおかしい、そして足も細長い。同じ日本人か?
俺の方が身長は高いのに、脚は彼女の方が長いんじゃないか?
「で、何をするのですか?」
「先ずは今まで通りにハンターとして活動してほしいのです。そうは言ってもカードを優遇します。竹嶌さんは全部受け取れないと言うので、これを先ず受け取ってほしいのです。まあ報酬?協力してくれるお礼の前渡し、そう思って下さい。どうせ僕達は欲しいと言ったらカードを幾らでも手配してくれますからね。さっきの戦闘で使っちゃったと言えば済む話ですし。」
俺はつい受け取ってしまったが、今まで聞いた事も見た事の無いスキルや、値段が高すぎて手にした事の無いスキルカードまであった。
うわ!なんだこれ!軽く億を超えるカードまであるぞ?
「それと、これは私の所持している本なのですが、一読してほしいのです。現在複製カードは貴重過ぎてスキルを用いて複製できませんので、できれば自身で書き写して返却してほしいのですよ。」
パラパラとめくると、何やら怪しげな事が色々書いてある。
カード・・・・【デッキ】ってなんだ?
それにカードにはそれぞれスキルが封じられている前提での記載がある。
【攻略】とか書いてあるが意味不明だ。【限界突破】?何の事だ?
ちなみに彼は【抽出】スキル持ちなのだが、今まで使ってきた【抽出】スキルって対象物の水分を抜き取るスキルと認識していたし教えられていた。
この本には違う事が書いてある。
つまり触れた部分を【抽出】できるのだ。
「岩ケ谷さん、私は以前から行っていたのですが、帯野さんの【抽出】スキル、インセント相手に無双できるんです。外骨格に触れさえすれば、外骨格を【抽出】できるので、残された本体は無防備。もうわかりますよね。」
俺は思わず帯野と言われる少年を見、竹嶌さんを見てしまった。
「それってつまり、凶悪なヘラクレスやオオクワガタを簡単に仕留められるって事か?」
本来ヘラクレスもオオクワガタも温和な性格らしい。
しかし大型化した時の弊害と思われるのだが、、性格は凶暴化ている。
で、戦うにあたり特徴としては固すぎる外骨格に武器は通らず、魔法も跳ね返す。
ひっくり返った所を攻撃するしかない。しかしそう簡単にひっくり返らないし、腹を見せる事もない。
上手く羽ばたいている時に背を狙う方法もあるが、羽を元に戻されてしまえば防がれる厄介者なんだ。挙句の果てにあの長い角だ。俺達の防具では防ぐ事が出来ない。簡単に突き刺さってしまう。何せ鉄の塊さえ貫通するんだからな。噂では昔存在していたという戦艦大和クラスの装甲も貫通する威力だとか。
クワガタの場合は顎に挟まれたら終わりだ。上半身と下半身がお別れをしてしまう。
何でそんな事実が今まで知られなかったんだ?
「言っておきますが、これには相当デメリットがあるんですよ。魔力がですね、あっという間に持っていかれてしまうんですよ。」
ああそういうデメリットか。
だがそれでも魔力を回復する手段があればあるいは。
今までハンターとして活動してきた10年は何だったのだろう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます