第35話告白する私の思い②(水希と紗理奈)

まず初めに、お待たせしてしまい本当に申し訳ありませんでした。

自身の可能な限り執筆するつもりですが、毎日投稿するのは難しいと思いますので、これからもお待たせする場合も多々あると思いますが、気長にお待ちいただけるとうれしい限りです。


それでは、本編をどうぞ!!!


────────────────────


(水希視点)


いつの間にか、私の顔は紗理奈ちゃんの胸元に吸い込まれるようにしてうずくまり、手は自然と彼女を抱きしめるようにしっかりと巻き付く。


(あれ、どうして私は紗理奈ちゃんの胸元で泣いているんだろう。)


誰かに助けてもらいたかったのか、この漠然と襲いかかる不安や恐怖を知ってもらいと無意識に感じたのか、それは自分でも分からなかった。


ただ、今まで心の奥底に閉じ込めていたものが、ひとつのヒビから決壊したかのようにとめどなく涙としてながれでてくる。


止めたくて必死に我慢しようとするが、心が、そして身体が自分の言うことを聞いてくれない。


私が涙を流す間、紗理奈ちゃんは何を言うでもなく、ただただ私の背中に手を添えて、まるで安心させるように擦りながら受けとめてくれた。



10分程経つ頃には、水希の流す涙は陰りを見せ始めた。ただ、それは彼女自身の身体から流れる涙が枯れただけかそれとも彼女の心がこれ以上泣いてはダメだとセーフティがかかったようなものだった。



「…………少しは落ち着いたかな?」


水希の嗚咽が収まる頃を見計らい、紗理奈が優しい声でそう語りかける。


「……すみませんでした。」


そう言いながらも水希は紗理奈の胸元から顔を離そうとはしなかった。

そこから少しの間沈黙が続く。





「…………私の話を聞いてもらってもいいですか」


その沈黙を破ったのは水希だった。

彼女は震える手を自身で抑え込むように紗理奈の後ろでしっかりと組んで力を込めながらそう言う。



それに気づいた紗理奈は水希の頭に優しく手を乗せてゆっくりと撫でながら、


「もちろん、いいよ。」



「……ありがとうございます。


実は私ーーーーーーーーーー


ーーーーーーーーーーーーー


ーーーーーーーーーーーーーー


ーーーーーーーーーーーーーー


ーーーーーーーーーーーーーーー


ーーーーーーーーーーーーーーー


ーーーーーーーーーーーーーーー」


それから水希は、事故当時に皆んなに黙っていたことを全て紗理奈に伝えた。


すると水希が紗理奈の胸から顔を上げて、少し距離を取り、土下座する形で向き合いながら口を開く。

「…………すみませんでした。

有栖の言う通り、龍星くんに近づいたのも最初は……ううん、今ももしかしたらただの私の自己満足なだけなのかもしれません。


許しを乞う資格なんてないとわかっていますが、こんな醜い私がこれまで龍星くんのお側に居て申し訳ありま…………」


その言葉は最後まで紡がれることは無かった

水希が言い終わる前に、紗理奈が水希のことを抱きしめていた。


「それを最後まで言わせないよ。」


「…………えっ。」

思いっきり罵詈雑言を浴びせられると覚悟していた水希は突然の紗理奈の行動に思考が追いつかないでいた。


それを優しく待つように、紗理奈は優しく抱きしめた。


水希が落ち着くのを待ち、紗理奈は話を続ける。

「私ね、今の話を聞いて怒るどころかなんか安心しちゃったんだよね。」


「…………安心……ですか。」


「そう、安心。私だって最初の頃は水希ちゃんのこと本気で恨んでたし、嫌いだったよ」


「…………はい。」


「でもね…………、事故の後から毎日毎日にぃにの病室を訪れて、自分にできることを精一杯してるあなたの事を私は見てた。」


「…………」


「たとえ、自己満足だとしら、あれから3年の間、一人の人のためだけに自分の人生を掛けようだなんてすごいと思うよ。」


「……ぅん。」


「でももしかしたら、その有栖さんが言っていることも間違いじゃないかもしれない。最初は自己満足でただの身勝手で独りよがりな罪滅ぼしかもしれない。」


「…………はい。」


「それでも、にぃにが目を覚ました時に見せた水希ちゃんの曇りひとつない喜びやそこからにぃにを支えてくれた毎日は少なくとも、私は有栖さんの言う自己満足や罪滅ぼしでやってる表情じゃないって断言出来るよ。」


「……うぅ。」


「そんな日々まで、否定しないでもいいんじゃないかな。」


「…………いいんでしょうか。」


「いいの!にぃにの妹の私が許してあげる」


「…………ありがとうございます。」


「うん!

ただ私の質問に一つだけ、答えてほしいの。」


「……はい。」


「過去の水希ちゃんがどういった気持ちでにぃにのために過ごして来たかは、私には分からない。

ただ、今の水希ちゃんは本当ににぃにを好きでいますか?」



「私は ─────────」




「それなら、大丈夫だね。




今のちゃんと聞いてたよね、にぃに。」



「……聞いてた? それに、にぃにって……まさか。」


「ごめんね、水希ちゃん。騙すつもりはなかったんだけどね、こうでもしないと頭でっかちで鈍感のにぃにには伝わらないから。」



そう言って、紗理奈の手には通話中と表示されるスマホが握られていた。


その通話先はもちろん龍星であった。


『もちろん聞いていたよ。

それで水希、2人だけで話がしたい。』


スマホから流れてくる彼の声色には何かしらの覚悟が含まれていたのは水希だけではなく紗理奈も感じ取れたのだった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


いかがでしたか?


水希の気持ちよりも紗理奈メインで今回のお話は書かせて頂きました。


水希が出した彼への答えとは。

そして、龍星の覚悟とは……


そしてそして、有栖との因縁(?)をどのように蹴りを付けるのか…………。


まだまだお楽しみの点はありますが、そういった所に注目しながら楽しんでいただければ幸いです!!


面白い!続きが気になる!っと思ってくれた方は、フォロー、応援、コメント、☆☆☆などなどよろしくお願いしますね!!!!


さて、次回もお楽しみに!!

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