新たな指針

第13話 初めてのデート

新作「超人気俳優が女子高校生を好きになるのはダメなことですか?」始めました!

こちらの方もぜひよろしくお願いします。



☆100を達成することができました!


星をつけて下さり、本当にありがとうございます!!


では、本編をどうぞ!


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


義足を動かせるようになってから2週間が経っていた。



あれから、毎日のように俺は義足を使う訓練を続け、数分程度なら自分の力だけで、立てるようになった。


まだ、歩行こそ難しいものの、着実に前に進んでいる感覚がただ俺は嬉しかった。





そして、現在俺は家から少し離れたショッピングモールに水希と来ていた。



(遡ること数時間前のこと)


いつものように、水希が朝からうちに来てリハビリと義足の訓練をしていた時だった。



一通り終わり、少しの間休憩していた時に、母さんこと、由里子がふと思ったことを口から出す。


「そういえば、龍星って外向けの服少ないわよね。」



唐突の事に、反応が遅れたが俺は

まあそうだね、と頷き、

「これまで、着る機会なかったからね。

Tシャツとパーカーくらいしか持ってないかな。」


と言うと、それを信じられないとばかりに水希が

「え!?本当なんですか!


確かにいつも同じ服を着ているなぁと思っていましたけど……」



すると、その言葉に由里子が思いがけない提案をする。

「じゃあ、今日龍星の服を水希ちゃんと2人で買いに行ってきたら?」


俺は、そんな母さんの言葉に

「いや、別に服とかはどうでも……」



と少し照れながら言うと、

ニヤッと笑みを浮かべた母さんが


「あらあら、2人だけの初めてのデートなのよ?心配しなくても、近くのショッピングモールくらいなら私が車で送ったあげるから。それに、水希ちゃんも行きたいわよねー?デートに。」


その言葉に水希は少し頬を赤く染めながら

「…………行きたいです。」



と可愛らしい仕草で言う。


それを見て、俺は

「……わかったよ。でも、俺服選ぶとかあんまり得意じゃないから、水希の力を貸してくれよな。」


そう言うと、嬉しそうに笑顔になりながら水希が答える。

「任せてください!龍星くんに似合う服をチョイスさせてもらいます。」



と言うわけで、由里子の車で家から少し離れた洋服店などが十分すぎるほど入っているショッピングモールに来たのだった。


水希は、行くことが決定した後、一旦自宅に戻り服を着替えて再び我が家を訪れたのだった。



水希の服装は、まさに現代に存在する妖精のような、清楚な白のワンピースが特徴的でとても可愛らしく、最初見た時に思わず俺は、

「………………めっちゃ可愛い。」


と呟いていた。



それを聞き、水希は照れた様子で

「……そう言って貰えて嬉しいです。」


と俯きつつそう言うのであった。


そんな様子を離れた所で見ていた由里子が微笑ましそうに笑っていたのが、印象的だった。



そんなこんなで、


俺は義足を着けた状態で車椅子に乗り、それを水希が押して、ショッピングモールの中に入っていく。



俺たちが歩いていると、やはり過ぎ行く人達が車椅子姿の俺に視線を向けてくる。


それに、水希も気づいたのか、

「龍星くん、平気ですか?」


と遠慮がちにそう言う。

俺は務めて軽い感じで

「大丈夫だよ。それより、俺の服どうするか決めた?」



と言うと、ふふっと笑いつつ水希は

「そうですねー、楽に着れてかつ龍星くんに似合う服を見つけれたらと思っています。」



と言いつつ、水希は首を左右に動かしつつ、周りの店に視線を向ける。



「龍星くん!あのお店に行ってみましょう!」


と言い、若手の男性向けの洋服店に向かう。


一緒に店内を回りつつ、水希は次々に服を選んでいく。


「龍星くん、試着してみませんか?」


俺はそれにどう答えるか言い淀む。


今の俺では、試着するだけで相当な手間がかかる。それに恥ずかしながら、着替えの際は今でも誰かの手を借りないとできないのでお店で試着することに躊躇いがあった。



すると、可愛らしい定員さんが近づき、


「試着されるのでしたら、こちらにどうぞ!」



と、手馴れた感じで俺たちを試着室に誘導する。


そこは、俺の思っていたような試着室ではなかった。


中は段差がなく、数人入ってもゆとりがあるほど広く、何より色んな箇所に手すりが付けられていた。


すると先程の女性定員が

「こちらは身体不自由な方が少しでも試着されやすいように作られた試着室でございます。」



その定員の女性の説明で知ったことだが、


俺たちが入ったお店は、今どき珍しく障害を持った人でも楽しく洋服選びができるように介助の免許を持った定員を雇い、店には最新のバリアフリーが搭載されていたのだった。




おそらく、母さんと水希はそれを知っていて、こうして俺をこのお店に連れてきてくれたんだろうか。


そんなことを考えつつも、


「じゃあ、お言葉に甘えて試着をさせてもらいます。」


と言うと、2人は笑顔で頷く。


2人の手を借り、水希が選んだ服に着替えていく。



すると、定員さんも興が乗ったのか、

水希と一緒に俺に似合いそうな服を一緒に選びだしてしまう始末だった。



結局、1時間程掛けて色んな服を試着して、水希と俺の意見で数着の洋服を購入したのだった。



お店を出た俺達は、母さんと待ち合わせの時間まで、多少余裕があったので、近くのお店を適当に回ることにした。



最初に入った雑貨店で、水希がお揃いのマグカップを羨ましそうに見つめ、


「…………こういうのいいなぁ。」


と小さい声でつぶやく。


その声は確かに、俺の耳に届き、

「水希、せっかくだし買おうよ。そのマグカップ。」


「えっ、でもちょっと高いですし」


「大丈夫。それにそのマグカップは俺が買って、水希にプレゼントしたいんだ。」


「いやいや、買うなら私もお金を……」



「いつも、お世話になっている水希にちょっとしたお礼がしたいんだ。……ダメかな?」


「ずるいですよ……その言い方は。

でも、とっても嬉しいです!」


という訳で俺は人生で初めてできた彼女にお揃いのマグカップをプレゼントしたのだった。


次の店を見に行くことにした俺たちは、一旦休憩するために、通路の真ん中に置かれているベンチに向かった。


水希がベンチに座り、これからどこを見て回るかを話していた時、


急に2人組みのチャラそうな男性が近づいてくると、

「なあなあ、そこのお嬢ちゃん、そんな男より俺たちと一緒に遊ぼうぜ。」


と水希に向かって言う。


水希の方は二人の男に向かって

「結構です。私はあなたたちよりも龍星くんといた方が楽しいので。」


と、バッサリ言い切る。


それにムカついたのか、横にいたもう1人の男が、

「ざけんな。そんな、障害者なんかよりよっぽど俺たちの方がイケてるだろ。」


その言葉に俺の心が一瞬ざわめく。



だが、水希は立ち上がると


「ふざけるな?それは、こっちのセリフです。彼がどういう経緯で障害を負い、どれほど傷つき、そこからどれだけの努力をしてここまでやってきたのか、何も知らないくせに、彼をバカにしないで!」


と、さっき俺の事を言った男性に向かい、そう言い放つ。



それを聞いた2人は狼狽え始め、それを聞いていた他の人達が、何があったのか、と視線を向け始めたことで、2人はバツが悪そうに軽く、頭を下げその場から走り出すのだった。



そんな中、俺は男性の言葉に少なからず心を抉られていた。


だが、突如俺の左手が水希の暖かい両手に包まれ、


「大丈夫。

あなたの事を知らない人が戯言を言っただけです。

私はあなたの事をずっと見てきたからわかる、世間で障害者と言われるのだとしても、私や由里子さん、健さん、紗理奈さんを含め多くの人があなたの事をそうとは思っていませんよ。

私にとって、龍星くんは世界で一番かっこいい私の彼氏さんですからね。」



と、俺の目を見つめ真っ直ぐに言う。


俺は、何とか捻り出した声で

「…………ありがとう。」


と彼女に伝える。




それを聞いていた周りの人達は、たくさんの拍手を俺たちに送ってくれた。




周りに人がいることに気づいていなかったのか、水希は顔を真っ赤に染めつつ、軽く頭を下げ、

「そろそろ、行きましょうか。」



と言って、車椅子に手をかける。






君の些細な一言一言が俺を支えてくれ、俺に力をくれる。それがどれだけ嬉しいか。

いつか、本当に今の自分に自身を持つことが出来たなら、君に直接伝えるよ。


と心の中で誓う。




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


いかがでしたか?


今回から、新章スタートです!


話は変わりますが、コメントで、前書きや後書きが読む時に気になる!という意見を頂きましたが、作者の気持ちとしては、感謝の気持ちとこの作品をもっと知ってもらいたいと思い書いています。


なので、どうでもいいよ!と思われる方は気にせずに読み飛ばして頂いて結構です。


好きで書いているので、今後も変える気はありません。どうかご了承ください。



面白い!続きが気になる!っと思ってくれた方は応援、フォロー、☆☆☆などなどよろしくお願いします!



ぜひ、感想をコメントしてください!


では次回お楽しみに!

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