浩貴と夏美のデート

一陽吉

待ち合わせ

浩貴ひろき~!」


「お~」


 やっぱ夏美の方が早かったか。


 初めてくる公園だから迷ったが、約束の五分前だし、大丈夫だろう。


 それに。


 夏美のやつ、白のツーピースで胸元が見える格好をしている。


 珍しく攻めたじゃないか。


 いいねいい、て!


 段差?


 やべ、バランスが……。


 と、とととと。


 とととと。


 ──ボヨン。


 前のめりになった先の感触。


 これは夏美の胸か。


 大きく柔らかく包み込むような母性の象徴。


 いい匂いだ。


 気持ちいい。


 ……。


 まてよ。


 あいつの胸、こんなに大きかったっけ?


 美乳だとは思うが、もっとつつましかったような。


「最近の子は大胆なのね……」


 !?


 夏美じゃない。


 目の前でほほを赤らめる貴女は誰ですか。


 ──もしかして。


 もつれた足は前にいた夏美じゃなく、通りがかった素敵マダムの方へいったのか?


「ちょっと、浩貴……」


 いかん。


 夏美が身体を震わせてお怒りになられている。


 ここはうまいこと言って誤魔化さなければ。


「ナイスOPですね!」


 グッ。


 親指を立て、マダムを称賛。


 他意がないことをアピールだ。


「あほかー!」


「ぐふっ……」


 左脇腹を突き刺すような衝撃。


 そして激痛。


 ミスったか。


 だがな、夏美。


 こういうとき、普通はビンタだろ。


 なんで回し蹴りなんだよ。


 さすが、武術家の娘。


 一味違う……。


「ふん!」


 はは。


 完全に怒らせちまったな。


 その背中が遠のいていく。


 そして。


 倒れたままの俺も意識が遠のいていく……。

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浩貴と夏美のデート 一陽吉 @ninomae_youkich

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