第5話

 制作委員に異を唱えて、三週間。いよいよプレゼンの日だ。


ここで一人も納得しなければ、僕の選出した作品達のアニメ制作はされない。


逆に言えば、一人でも、納得すれば、アニメ制作できる。




簡単そうに見えるが、委員の人らは、はなっから聞く気のないアウェイの状況になるだろう。


ただのプレゼンでは、まかり通らない。


ならば、どうするか?


この三週間そのために生きて来た。


後は賭けるしかない。




「プレゼンをする前に、お願いがあります」




司頭


「なんだい?」




「このプレゼンで一人でも納得・賛同した人がいた暁には、今回提出された作品全てをアニメ化して下さい」




「「「「「「「! ?」」」」」」




司頭


「意図を聞こうか」




「この選定機関に意義がないからです」




演出


「ふん。自ら余計に同意を求めにくくなっているのがわからんのか。先っからふざけた事を言いおって。ならば、自らその機関をやめろ」




司頭


「演出君やめなさい」




演出


「しかし」




司頭


「誰がなんと言おうと、プレゼン中だ。我らは、評価し、選定する者。彼のプレゼンを最後まで聞いて評価する。途中からの異は必要ない。他の者達も肝に銘じておくように。続けなさい」




「はい。僕は、プレゼン準備の期間中に、自身の選定した3作品の現場へ立ち寄り、現状を見てきました。ただ、最初は、シュガーハイスクールの監督以外は、まともに取り合って、貰えませんでした。選ばれる事を諦めていました。シュガーハイスクールも例外では、ありません。しかし、作った作品は生きていた。もし、あなた達の目が死んでいないのなら、わかるはずです。それに気づかずに、いた自分も情けない。そして本気なのに、肝心な所で諦めている作品の監督方にも、怒りを覚えた。アニメ化させたくはないのかと。けど、それは僕達が邪魔をしているからだ。選択によって、残酷にも、淘汰された作品が数え切れない。だから、このプレゼンの前段階で、選ばれなかった作品も可能な限り、この事を巻き込ませました。シュガーハイスクールの監督の協力で、多く方と話を通す事ができました。選ばれなかった作品の資料をご覧下さい」




 この資料を見て、委員長以外阿鼻叫喚した。




演出


「おい。【レベルという概念を越えた存在。マスターワンになった俺とも知らずに、レベル100共と来たら。やれやれ格の違いをやさーしく教えてあげますか】があるじゃないか! ! 演出が皆無だというのがタイトルでわかるではないか。見る価値も無い。」




甘々


「は? 【性格だけ美人だった私は、転生して、容姿も端麗になってしまいました。数多の男性達に求婚されても靡なびきません。どうか私に構わず、お幸せに。】人生舐めてるだろ? こんな願望だけのファンタジーなんていらねぇんだよ! ! こんなもの作る奴らはなぁっ砂糖でも、舐めて、糖○病にでもなってろ」




法被


「…。【パーティーから外されたオラは、田舎で悠々自適に暮らすだ。戦闘スキル皆無だけど、農業無双で銭がたんまりに。奴ら手の平返しただ。5分前行動を強いた癖に、そっちは数ヶ月後行動ですか。現実はそう甘くは無い】何ですかこれ? 田舎弁にするなら、一貫してくださいよ。最後の方は、作者の下品な本性が出てるじゃないですか。まぁ、最初から浅はかですが。現実を見ていないのは、作者じゃないですか。カタルシスを作ったつもりで、結局形にすらなってない。日記からやり直した方が良いです」




「まぁ、落ち着いて下さい。どうかそのままその作品達を視聴してください」




演出


「ふざけるな!!」


司頭


「落ち着きなさい」


演出


「司頭委員長。しかしこれは流石に」


司頭


「言ったでしょう。我々は、選定する者だ。例えそれが見るに絶えないものだったとしても、見てから判断しなければいけない。わかったね演出君」


演出


「…はい」




委員長のおかげで、なんとか落ちつき、視聴を開始された。


 


 そこからすぐに彼らは異変に気づきざわめく。




演出


「おい。タイトルと内容が全く違うじゃないか」




「はい。そうですね」


演出


「ふざけるな! でちっあげた深刻さがわからんのか!!」




「ふざけているのそっちです!」 「なっ?」




「見もしないで作品を勝手に烙印を押す。タイトルがアレでも、素晴らしい作品だってある。そう思うのなら、そんな事はしません。そもそもが本気で全てのアニメに目を通しているのなら、架空のアニメタイトルだとわかるはずです。本当にふざけていますね」


演出


「そんなのは、詭弁じゃないか」




「選定する者に、反して良く言いますね」 「くっ」




「演出さん以外の人もです。ここの機関にいながらに恥ずかしいです。結局権力に溺れているだけだ。自身の感性を信じず、同じ投票をし、司頭委員長の顔色を伺っている。そうですよね? 司頭委員長」


司頭委員長


「何か疑っているみたいだけど、心当たりは無いね」




「そうですか。再び言います。恥ずかしくないのですか? 本来自身の良いと思ったアニメを選出する場で、投票が全て重なっているこの状況を。ならば貴方達の代わりなんて、誰だって良いじゃないか!!貴方の恥ずべき行いを認め、僕に賛同する方は、挙手を願います」




「「「「「「「……………」」」」」」




「なるほど。腐りきっている事が良くわかりました。まぁ、期待してないのでいいです。そしてここから本題に入ります。僕は、アニメ制作同盟を設けることを宣言します。」

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