第一章までの感想です
テンポの良い会話と軽やかな筆致で描かれる青春の日常は、一見するとどこにでもある高校生の雑談のように感じられます。しかし、読んでいくうちにその裏に漂う不穏な空気がじわじわと広がり、気づけばただの学園ものではないことに気づかされます。
主人公の独特な視点と皮肉交じりの語り口が心地よく、会話のやりとりには思わず笑ってしまう場面もありますが、その中にふと挟まれる違和感や緊張感が、物語全体に独特のリズムを生み出しています。そして、ある瞬間を境に世界の見え方がガラリと変わる展開には、驚きと興奮を覚えました。軽妙な掛け合いとスリリングな展開が絶妙に絡み合い、次のページをめくる手が止まらなくなる作品です。