第25話 篝side

オフ回の時も思ったけどレッチリ君(←本名は朱神コウ。でもボクにはこの名前の方が印象深い)はやっぱり優しい人だった。

ボクは、不覚にもレッチリ君を好きになってしまったみたい。

レッチリ君は、ボクが人付き合いが苦手な事をなんとなく理解して、クラスメイトに囲まれ縮こまるボクを助けてくれた。

少し頼りなく見えるけど優しくて、誰かが困っている時自然に手を差し伸べられる人。

それがボクには眩しかった。キミのそばにいたい。だけどそれが叶わない願いである事をすぐに思い知らされた。

教室に戻ったボクが目にしたのは、他の女子と一緒にいるレッチリ君。長い銀髪を背中辺りで束ねた小柄で華奢な可愛らしい女子。見ていると無性にボク自身のコンプレックスを刺激されるほど可愛らしい。名前は、村雨葵……だったと思う。二人は付き合っているようだ。

そうだよね。ボクみたいな可愛げのない女が敵うはずがなかった。

ボクだって、本当は可愛く生まれたかった……周りの人達はボクに美人とか、美形とかいうけど、それはボクの望んでいる魅力とは程遠い。贅沢な悩みかもしれないけど、ボクはボクの見た目が嫌いだ。

結局、レッチリ君も可愛げがある女の子の方がいいんだ……

わかってる。レッチリ君は悪くない。

こうしてボクの初恋は想いを伝える事すらできずに終わった。









  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る