第19話 日陰side

ひたすらに存在感を消し、加賀美ナルを監視する。昨日の部活動後、偶然にも別件の用事でボードゲーム部を休んでいた鳥丸先輩とばったり遭遇したっス。


鳥丸先輩とはあまり話すほうではなく初対面の時も、

『え、この先輩が?』と拍子抜けするぐらいの感じだったっス。先輩の武勇伝は学園の都市伝説並みに知れ渡っているっスから不登校になる前の私でも知っているレベル。


「今、時間あるか?手前はとらせない……」


「別に問題ないっスけど、ナンパっスか?」


「………………」


「冗談っスよ!冗談!!マイケルジョーダンっス。」


先輩の呆れた表情に少しビビりつつも先輩に連れられて行った場所は写真部の部室であったっス。

そこには放課後にも関わらず数名の男女がいた

全員険しい表情を浮かべながら黙々と何らかの作業をしていたっス。


「皆、集まってくれ……」


鳥丸先輩がそう一声かけると全員一斉に作業を中断し部室の窓や出口に分厚い黒いカーテンをおろし、念入りに出口に鍵をかけたのち、

部室の中央に大きな折り畳み式の作業台を展開させ、皆集まると、


「彼女が今回の計画の要となる、ボードゲーム部所属の物部日陰だ…今から段取りを説明する」


え?計画?要?……私が?

なんの事だかさっぱりわからない私は呆気にとられていると1人の女子生徒がこの謎の集団のことと計画のことについて話してくれたっス。

何でもここに集められた生徒たちは皆スクールカーストが原因でイジメを受けたもの達の集まりで中には自殺にまで追い込まれた者も。

計画というのはとある人物の社会的抹殺。


「私もね、許せない……同じ人間なのに奴らは自身を上級国民かなんかと勘違いしている…自分より弱い者を奴隷のように使い…………事が起きたら知らんふり…………」


「何があったんスか?」


「私の友達がスクールカーストが原因のいじめで自殺未遂……幸い命に別状は無かったけど……極度の対人恐怖症になっちゃって転校しちゃったの……私が、私が行動していれば!……」


彼女はパソコン部に所属する私と同学年の「風上 遥 (かざかみ はるか)」


彼女も私と同じく鳥丸先輩に誘われこの集団の仲間入りをしたらしい


「風上、プロジェクターを頼む」


「は、はい!」

鳥丸先輩が風上へプロジェクターの準備を促すと彼女は馴れた手つきでプロジェクターを起動しとある資料を写し出したっス。

それは加賀美 ナルに関する資料だった。

その内容はかなり細かく彼女の相関図や彼女の手口や被害者の特徴などの情報が面白いぐらい書いてあったっス

極めつけは…


「この1ヶ月の調査から彼女は次の標的を朱神コウにする確率が極めて高いと思われます。」

あの野郎…朱神さんにまで手を出すとは……だけど朱神さんを狙った所で野郎に何の特が………………もしや……


「まさか…間接的に葵さんを狙って……」


「これがその映像です…」


その映像は小型ドローンで撮影したもので……内容は胸糞わるいものだったっス


『村雨葵の彼氏の朱神コウってさぁ、いかにも童貞だよね。あいつをナルの物にしたら、村雨葵はどんな反応するかなぁ?』

取り巻きどもが馬鹿笑いしているっス……


私の親友にまで手を掛けようとしている外道の光景に内にある黒い何が暴れようとしているのがはっきりわかったっス。控えめに言ってブチ56してやりたいぐらいっス。

映像が終わると私は鳥丸先輩に、


「私は何をすれば良いっスか?」


そう聞き返していた。

私は、葵さんが大好きで大切な親友……傷付けるなら誰であろうが容赦はしないっス。



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