第7話 葵side2

姉さんの言う事は確かに正論ではある。だけど私は納得できなかった。コウ君は臆病者なんかじゃない。

姉さんがコウ君を臆病者と言った事がまだ心に引っかかっている。だから、今日だけは姉さんと一緒にいたくない。

放課後、私は姉さんを学校に残して一人で帰宅する事にした。

その時の私にはそれが間違いだという事はまだ知るよしもなかった。

高杉があれだけコケにされて黙っているはずがなかったのだ。

見通しの悪い交差点で後ろから紺のワンボックスカーが徐行しながら走ってきた。そして私の横で止まる。


「よぉ……」


窓から高杉のニヤついた不愉快な顔が見えた。

まずい、と思ったがすでに手遅れ。ワンボックスカーのドアが開き、私は数人の不良達に抑えつけられて車内に連れ込まれた。小学生の頃のいじめの記憶がフラッシュバックする。

不良達は暴れる私の口にハンカチを押し付け、薬品を嗅がせた。そこで意識が途切れた。

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