第4話 トラウマ
今思えば、小学生の頃の僕は愚かだった。自分がいかに無力で非力な存在かも知らず、一人の女の子を助けようとした。僕にはそんな力は無いにも関わらず。誰かを助ける為にはそれ相応の力が必要だ。しかし僕にはそれがなかった。
結局、僕はヒーローにはなれなかった。
ヒーローどころか、それで自分がいじめられてたら世話はない。
その経験は僕の心を抉り人格をねじ曲げるには充分な出来事だった。
以来、僕は目立つ事、誰かと衝突する事を恐れるようになった。自分に期待しなくなり、モブである事に徹するひねくれた僕はこうして出来上がったんだ。
君には僕がヒーローのように見えたかもしれない、けど違う。
僕はただかっこつけたかっただけなんだ。かっこつけて、失敗したどうしようもなく愚かで惨めな偽善者なんだよ……
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