第715話 (ひさしぶりに)会社いく 4
【登場人物】
川崎ばにら DStars3期生 ゲーム配信が得意
渋谷いく DStars2期生 陰キャオタ女系VTuber
Bちゃん DStars裏方兼事務職員 広報配信を担当
社長 DStarsの社長 ときどき無茶ぶりするが敏腕
【シチュエーション】
FPSゲー界隈では有名人のKMTにいくちゃん反応する。
彼女もかなりのガチ勢だが……はたして二人はこれからどうなるのか?
◇ ◇ ◇ ◇
い く「分かった。いろいろ聞かせてくれてありがとう、Bちゃん」
Bちゃ「いえ、これもお仕事ですから……」
ばにら「ギスってる! ギスってるバニよ!(小声)」
「いま先輩、この空気どうしたらいいバニですか⁉(小声)」
い ま「うーん、Bちゃんの頑固は今にはじまったことじゃないけど(小声)」
「いくちゃんがこんなに頑なだとは思わなかったなぁ……(小声)」
「いくちゃん、本当は自分が大会に出たかったんだろうな(小声)」
ばにら「それはそうバニですよ(小声)」
「自分から交渉してるくらいバニですし(小声)」
「けど、かりんちゃんを軸にメンバー組むなら……(小声)」
い ま「そうだよね、いくちゃんじゃちょっと頼りないかも(小声)」
「お互いに陰キャだから、コミュニケーション成立しなさそう(小声)」
「その点、ちまきちゃんは気配りができる子だし(小声)」
「ひじりちゃんはフリーダムな娘だけど(小声)」
「その分さっぱりしていて、後腐れなく組めるかも(小声)」
ばにら「ばにぃ……(小声)」
「運営の人選もあながち間違ってはないからタチが悪いバニ(小声)」
い く「ごめん、収録までまだ時間があるよね?」
「ちょっとスタジオ入る前に、発声練習してくる」
Bちゃ「どうぞ。時間になったらスタジオに来てくださいね」
ばにら「あっ! いく先輩!」
い ま「ばにらちゃん、追いかけてあげて!」
「Bちゃんの方は、私がフォローしてみるから!」
ばにら「わ、わかりましたバニ!」
◇ ◇ ◇ ◇
ばにら(発声の練習って言ってたけど)
(いったいどこでやるつもりバニだろう)
(やっぱりここはベタに屋上だったりするバニかな……)
(って、本当にいた⁉)
い く「はぁ……」
「大会、出たかったなぁ……」
「チームワークとかコミュニケーションとか」
「そういうのどうでもよくなるくらい」
「個人戦闘能力を高めてきたつもりだったけど」
「そうだよね」
「ガチガチのガチの配信を見たいリスナーなんて少ないから」
「そういうのきっと需要ないんだろうなぁ……」
ばにら「い、いく先輩……」
い く「あれ? ばにらちゃん? どうしてここに?」
「まさか、心配して追いかけてきてくれたの?」
「あてぃしのこと、好きすぎぃ?」
ばにら「いや! そんな小ボケいらないバニですから!」
「あんなシリアスな退場しておいて、それを言うんですか!」
い く「あははは、ごめんごめん。ごめんね……」
「なんかちょっと、そう言わないと、しんどくってさ」
ばにら「いく先輩……!」
い く「ばにらちゃんはさ?」
「どうしてこの会社に入ったの?」
「うぅん……」
「なんでVTuberになってみようと思ったの?」
ばにら「なんでって、それは……」
「昔からゲームが好きで」
「ゲームでご飯が食べられたらなって思ってて」
「けど、プロゲーマーするほどの腕前はなくって」
「それでもニコ動とかで配信をするとばに~らの動画を見てくれて」
「これや! って、思ったバニですからかねぇ?」
い く「めちゃくちゃ具体的に語るじゃん!!!!」
「そこはさぁ! ちょっと黙って、先輩に譲る奴でしょ!」
「むしろ聞く振りをして、こっちが語りたい感じの奴でしょ!」
「そこんところくらい察してよ!」
ばにら「いく先輩! アンタも陰キャなら分かるやろ!」
「陰キャに常識やお約束は通じないんや!」
「ばに~らに重めの相談をした、いく先輩が悪い!」
い く「…………」
「ぷっ! あはっ! あはははははっ!」
ばにら「…………」
「えへっ! えへへへっ……!」
い く「ほんと、陰キャって面倒くさいよね」
「なんでこんな性格してるのに、配信者なんてやってるんだろ」
ばにら「本当バニよ」
「けど、陽キャとか陰キャとか関係なく」
「やりてえって思っちまったんだから、仕方ないバニな……!」
い く「そうだよね。仕方ないよね。やりたいものはやりたいんだから」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
先輩陰キャVS後輩陰キャ。
二期生の陰キャ筆頭のいくたんと、三期生の陰キャ筆頭ばにーら。
お互いに性格が近いからこそわかり合える部分がある。
だからこそ無自覚に惹かれあい絡んできた。
二人には見えない絆がたしかにあるのだ。
そして、それがずんだとたるとを嫉妬に狂わせる!
やめるんだばにら! いくたん! 絡みすぎると危険だぞ!
なんか青春漫画っぽい展開をみせるいくばに。ばにらの前で、弱音をポロリしてしまったいくたんは、これからさらに何を語るのか。二人の会話の行方が気になる方、そしてAPEXの大会の行方が気になる方は、ぜひぜひ評価・応援・コメントよろしくお願いいたします。m(__)m
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