第707話 Bちゃんち 4
【登場人物】
川崎ばにら DStars3期生 ゲーム配信が得意
トキワいま DStars零期生 事務所発足の切っ掛けになったV
Bちゃん DStars裏方兼事務職員 広報配信を担当
社長 DStarsの社長 ときどき無茶ぶりするが敏腕
麦畑一二三 だいさんじ所属VTuber おかまのエルフ
Mr.天狗 川崎ばにらの母の友人 天狗の能面を被っている
【シチュエーション】
事務所に避難してきたら、オカマ’sBAR(ノンアル)になっていた。
◇ ◇ ◇ ◇
一二三「あらためまして、聖十字護竜騎士団第三席」
「台所の守人にしてクッキングお兄さんの」
「第一第二第三王女、リーゼロッテ・クランベリーである!」
ばにら「どう見ても違うじゃろがい!」
「リーゼさん、もっとおしとやかな人じゃろがい!」
「なに勝手に僭称してるねん! 先輩でも怒られるぞ!」
一二三「やだぁ、場を和ませるだけの軽いジョークじゃない」
「こんなのいちいち拾ってつっかかってたら、話しが進まないわ」
「ばにらちゃんてば、意外とオフでは真面目なのねぇ~」
「さぁ、なに飲む~?」
「お湯ならたっぷりあるわよ~?」
ばにら「ほんで! なんでしれっと飲み屋をはじめてんねや!」
「完全にスナックのママさんの語り口やないか!」
一二三「お仕事つらかったんでしょ?」
「今日は私のお店でゆっくりしていきなさいよ」
「二人っきりで話したいなら、上に行きましょう」
「布団は敷いておいたから……♥♥♥」
ばにら「事務所やねん!!!!」
「上、会議室やねん!!!!」
Bちゃ「一二三さんのノリに完全に翻弄されてますねw」
「いやー、これだから喋れるオカマは怖い怖いw」
「ウチもオカマVTuber雇ったらどうですかねw」
社 長「やだぁん、ここにうってつけのオカマの原石がいるじゃな~い」
「Bちゃんってば、イケずなこと言わないでよ~♪」
ばにら「社長! あの配信はネタだと思ってたのに!」
「もうDStarsの所属VTuberやめます!」
「今日からだいさんじのライバーになります!」
一二三「あらぁ? かわいがり甲斐のある後輩ができたみたいね?」
「たのしみだわぁ~♪ だいさんじ魂を叩きこんであげちゃう♪」
ばにら「しまった、だいさんじにはオカマのエルフがいるんだった!」
「もうこんなの、どうしろっていうバニか!」
「VTuber界隈に安全地帯はないのけぇ!」
天 狗「まぁまぁ、リリスもゲンガン」
「ばにらちゃんをからかうのはほどほどにして」
二 人「はぁい」
天 狗「それにしても、怖い目に遭ったねばにらちゃん」
「大丈夫だったかい? 怪我なんかはしてないね?」
ばにら「あ、はい。大丈夫だったバニです」
天 狗「やはり若い娘の東京暮らしは危険だな」
「身バレしてしまったこともあるが」
「すぐにあのアパートは引っ越そう」
「大丈夫だ。引っ越し先には天狗にアテがある」
ばにら「バニ! ありがたい申し出ですけど」
「やっぱりばに~らには、ばに~らハウスがあってたみたいバニよ」
「またすぐに、ばに~らハウスに戻る準備を……」
全 員「だから! ばに~らハウスはやめろって言ってるだろ!」
「むしろあのアパートで事件が起きなかったのが奇跡なの!」
ばにら「……ひぇ」
Bちゃ「まったく! ちっとも危機能力が育ってないんだから!」
「今回の一件で、少しは自分の無防備さにきがついてくれると」
「期待した私がバカでしたよ!」
い ま「ばにらちゃん」
「ばに~らハウスは、年頃の女の子が住む家じゃないよ」
「ましてばにらちゃんみたいな大人しそうな女の子が住んでたら」
「悪い人になにされるかわかったもんじゃないよ」
天 狗「ここにみんなが集まったのは偶然ではない」
「それだけ、みんなばにらちゃんを心配しているということを」
「もっとよく理解しなくちゃいけない……ゾ!」
社 長「そうよ、ばにらちゃん」
「貴方は私の会社の太陽」
「ううん、この世界を照らしてくれる、お日さまなんだから」
「そんな風に『自分なんて』とか言っちゃダメ」
ばにら「天狗! いまちゃん! 社長!」
Bちゃ「おうおうおうおう、湿っぽい話で締めようとしやがってよう」
「誰が一番割り食ってると思ってるんだよ」
「ばにらさんの引越の事務手続きを進めたのも私なら」
「今回の騒動で奔走したのも私だってーの」
「事務員ももうちょっと労ってくれてもいいんじゃないですかねー!」
「カーッ! エナドリとアルコールが肝臓に染みるわー!」
一二三「もう、Bちゃんったら」
「そんな危なっかしい飲み方をしてたら」
「健康診断に引っかかるわよ♪」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
酒、飲まずにはやってられない事務員!
ばにらにさんざん振り回されたBちゃんとしては、そりゃたまったものではないですわな。とはいえ、心配しているからこそ奔走もした訳で。
まったく、天性のアイドル(VTuber)ってのも困りものでございます。
先にいまちゃんで慣れていた、Bちゃんだからこそ耐えられた……!
おかまたちに慰められるばにらちゃん。さてさて、これからどうするのか。やっぱりずんさんと同棲ルートか。それとも、天狗の勧めで新しいアパートか。お話的には前者の方が面白そうですが――気になる方は、ぜひぜひ評価・フォロー・応援などよろしくお願いいたします。m(__)m
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