間話:私にとっての幼馴染 / 美玖①



私には大好きな彼氏がいる。


彼は幼馴染なんだけど、

昔から優しくてかっこよくて、

それに、すっごい一途。


彼のお母さんも女手一つで彼を育ててるかっこいい女性で、私の憧れだ。

将来のお義母さん。えへへ。



でも私の両親は彼のことが嫌いだ。

彼が片親なことも気に食わないらしい。


どうしてかと言うと、

私の両親は私を溺愛している。

なので物凄い過保護だ。

その一例として、

私の小学生の時の門限は16時だった。


反対に、お母さんが昼間働いている彼には門限なんてあってないようなものだったの。


ここまで言ったら分かるかな?

そう、私は小学生の時に彼と遊ぶために門限をよく破っていたんだ。


勿論最初は門限を破るなんて考えもしなかったよ?でも彼が自信満々に言った言葉の誘惑に負けちゃった。


「俺、もっと美玖ちゃんと一緒にいたい。

美玖ちゃんを色々なとこに連れて行ってあげたい!」


もうだめだよね。

反則だよね。

これを言われたのは小学校4年生だったかな?


彼とは一応幼稚園から一緒で小学校1年生の時に同じクラスになったんだけど、それまでは休日に遊ぶまではいかないものの学校でよくお話したりしてて、一番仲良い男の子だったものの恋愛感情とまではいってなくてあくまでこの人良いな、くらいのお友達だったんだけど。


──うん。好きになっちゃった。


ちょろいとは言わないで。

その時の優貴は誰よりも自信満々で輝いていた男の子だったのよ?惚れるなって方が無理よ。


もうそうなったら門限を破る恐怖よりも

恋する乙女の感情が勝っちゃったんだよね。


まぁ今となっては失敗だったかなぁ。

そのせいで彼は私の両親から目の敵にされるようになっちゃったから。

あそこはグッと堪えるべきだったな。


そのせいで中学生に上がってからは彼と大手を振ってお話できなくなっちゃったから。

まぁこっそり会うのも何か少女漫画やドラマで観たイケナイ関係みたいで楽しかったんだけどね。


それで中学2年生に進級してすぐ、

彼──優貴に告白されて無事に恋人になれた。


本当に嬉しかったなぁ。


でも丁度恋人になったばかりくらいかな?

私は自分で言うのも恥ずかしいけど、どうやら結構可愛かったみたいでよく他の男の子から告白されるようになった。

私達の関係は秘密だから、周りにはフリーだと思われてるから仕方ないんだけどね。


勿論私には優貴がいるから、全員きっちり断ったし、ちゃんと逐一優貴にも報告したよ?


私は優貴一筋だからね!



──で、ここからは優貴には言ってない話。


優貴は全く知らないだろうけど実は彼、モテる。顔もかっこいいし、優しいし、不良とまではいかないけどちょっとやんちゃなところとかも母性本能をくすぐられるんだよね。


でもそんな当人はモテないと思っている。

だからいつも告白されてる私と釣り合ってないんじゃ、なんて思ってたりして自分磨きを欠かさないから益々かっこよくなっていってもうやばい、好き。(語彙力)


あぁ、なんで優貴はモテないのかだったね。

実は私、優貴と付き合ってること沙耶香以外の女子にも教えてるんだよね。

理由は勿論、牽制だよ。

それにどこから漏れるか分からないから秘密にしようって言い出したのは優貴なんだけど、私は別に学校の友達からバレる、なんて思ってないしもしバレても両親に歯向かうつもりだから。

もう両親の言いなりになるほど弱くないしね。



でも優貴は昔、私の両親に怒られたことがトラウマになってるせいで凄い真剣に隠そうとしてるから本人には言い出せないけどね。



──そして、

ここから先は私以外誰も知らないこと。



優貴は私に対して劣等感を抱いていた。

モテる私と、モテない自分、って感じかな。

勿論それは優貴の勘違いで、客観的に見ても私達は釣り合いの取れたカップルだと思う。


まぁそこら辺のすれ違いは中学生の内にしっかり話し合って終わらせたんだけどね。


でもその際も私は、優貴に本当はモテることを教えてあげなかった。

最初は、純粋な不安からくる独占欲だった。


優貴に限ってないとは思うけど、思春期の男の子だからね。沢山の女の子に好意を寄せられてしまったら浮気されちゃう可能性だって、0とは言い切れないじゃない?


だから秘密にしていたんだ。


でも、いつからかそれは歪んじゃった。


先程終わらせたとは言ったが、

多分まだ優貴は心の奥底では、いや下手したら自分でも気付いていないけども、未だに私と自分が釣り合ってないと思ってる。それでも私が大好きだから、ずっと自分磨きを頑張ってる。


でもモテない。そして変わらずモテる私。


でね、そんなだから優貴は私を凄い大切にしてくれるの。ううん。私に依存してくれるようになっていったの。


昔は自信満々な態度で私を惚れさせた優貴。

でもね?そんな優貴がいつからか、

私の前ではちょっと自信なさ気になったの。

こちらを伺うような視線。

私と離れるのが心底怖そうな目。

そして精一杯愛してくれる。


それが本当に可愛くて可愛くて。


あぁ、もう癖になっちゃった。


だから優貴にはモテることを絶対に教えてあげない。

...それに今となっては本気で危険だしね。

優貴は多分本人に自覚はないだろうけど、私が外見的評価を避けてるから自己肯定感がどんどん低くなってる。

そんな中、そこらのモブ女ならまだしも、もし万が一私より可愛い子に自己肯定感を満たされてしまったら取られてしまう可能性だってあるんだよね。

まぁ私より可愛い子なんてそうはいないし大丈夫だとは思うけど。

優貴のことを好きになるのは私だけだって、これからもずっと思っていてもらうつもりでいる。


可愛い優貴。

私はずっと、優貴のことが大好きだよ。

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