昨今の若者の性の乱れ / 女子
あの日、沙耶香の浮気現場を見てしまった私達は、私は沙耶香に、そして優貴は佐々木君にそれぞれさり気なく探りを入れることにした。
それで今、沙耶香と2人でカフェにやってきたわけなんだけど──
「どうしたの美玖?さっきから難しい顔して?」
「い、いや、なんでもないよ?」
「そう?西条君と何かあったの?大丈夫?」
「ううん、大丈夫だよ。何もないよ!」
「そういう沙耶香こそ、最近は佐々木君とはどうなの?」
「うーん、別に普通かなぁ。
普通すぎて拍子抜けしちゃうくらい。
まぁ、安定してるってことだからいいことなんだけどね」
「あ〜、分かるかも〜」
「わかってくれる?」
「うんうん。やっぱ乙女としては常にキュンキュンしたいけど、長く付き合ってるとね〜」
「そう!そうなの!
刺激がほしくなっちゃうんだよね〜」
「まぁ私は優貴一筋だけどね」
「美玖は本当に一途だよね。
でも私だって小次郎のことは大好きだよ?
...ねぇ美玖。聞いてくれる?」
「うん?どうしたの沙耶香?」
「あのね、秘密だよ」
「うん、わかった」
「私ね、最近仲良くしてる人がいるの」
「えぇ!?それって?」
「あのね、大学生なんだけど...」
「そ、それで...?」
「でね、私、実は...」
「...」
「何回か、その、えっちしちゃったんだけどね...」
「えぇ!?」
「うぅ...」
「ちなみに...イケメン?」
「うん、イケメン。しかも医大生なの」
「きゃー!沙耶香すごいじゃん!」
「ちょっとやめてよ〜、もう...」
「ね、ね、それでどうなの?」
「どうなのって?」
「決まってるじゃん!えっちだよ」
「なんかもう...凄かった」
「「きゃーきゃー!!」」
「良かったね沙耶香、今回は大当たりじゃん!」
「うん!大物釣っちゃった!」
──うん、ネタバラシしちゃうとね。
沙耶香の浮気って別に今回が初めてじゃないんだよね。
2人が付き合い始めたのは中学2年生の終わりくらいだったかな。
私と優貴が付き合って、その流れでお互いの親友として4人で遊ぶことが多くなって、まぁ私と優貴がイチャイチャしてたからね、その熱にやられて2人もくっついたんだ。
で、高校生に上がってすぐくらいかな?
沙耶香がチャラくて有名な先輩にあの手この手で言いくるめられて、流されてやられちゃったんだよね。
それで私だけに相談してくれたんだけど、
最初は沙耶香も凄く落ち込んでた。
「小次郎を裏切っちゃった...」
って泣いてる沙耶香を慰めてあげたっけ。
それでまぁ、このことは墓場まで持っていこうって結論に至ったんだけどね、
悲しいことに、その先輩とのえっちは佐々木君とするよりも気持ち良かったみたいで──
佐々木君に物足りなさを感じてしまった沙耶香は自分の意思で先輩にも抱かれるようになっちゃったの。
それで、そんな生活が半年くらい続いたくらいかな。
沙耶香ってあまり目立たないタイプなんだけど脱いだら凄いし、顔も実は私並に可愛いんだよね。
ただ、私が目立つタイプだから、いつも私と一緒にいるせいでその良さに気付いてる人が少ないの。まぁそれでなくても佐々木君と付き合ってるのを隠してないって言うのもあるけどね。
それで何が言いたいかと言うと、
先輩が沙耶香に本気になっちゃったんだ。
でも、沙耶香からしたらあくまで本命は佐々木君。
そして、お互いの感情が逆転したら当然立場が弱くなるのは惚れた方。
半年と言う時間は、沙耶香が先輩より優位に立つのに十分すぎたの。
「ガチになられてまじだるいよね」
そして沙耶香はあっさりとその先輩を切り捨てた。
勿論一悶着あったけれど、そもそもの始まりは先輩が割と強引な手を使ったことにあるからそれを上手く使ってねじ伏せてた。
でもそれで終わりじゃなかったの。
半年間の浮気は、沙耶香を強かに成長させていた。
「刺激がほしい」
そんなことを言って、佐々木君に内緒で男漁りをして発散している、月並みな言い方だけど悪い女になっちゃったの。
勿論誰にもバレないように上手くやっている。でもそこは女の子。
私は違うけど、大体の女の子は誰かに話したい生き物だからね。
それに選ばれたのが私。
──だから私は、沙耶香が隠れて浮気を繰り返しているのをとっくに知っていた。
ちなみに「何回かえっちしちゃったの」
と言う発言に私が驚いていたのは、沙耶香はあれ以来浮気するにしても基本1回きりだったからだ。
そしてなんで冒頭で私は難しい顔をしていたのか。
それは勿論、
「ねぇ、沙耶香。言わなきゃいけないことがあるの」
「なぁに?」
「あのね、沙耶香が浮気してるところ、優貴に見られた」
「...え?」
私の発言に真っ青になる沙耶香。
「でね、秘密にしようとしたんだけど、ほら、優貴って佐々木君と仲良いじゃない?だから止めきれなくて...。一応今日はお互い軽く探りを入れようって話になってるの」
「え、え、どうしよう美玖〜」
「多分、まだ大丈夫。さっき優貴から連絡がきたんだけど、まだ言ってないみたいだから。
だから私も協力するから、どうするか考えよ?」
「ありがとう、美玖...」
「うん。とりあえずいつも通り1回切りだったら終わったことにできたんだけど、気に入っちゃったんだよね?」
「うん...。でも小次郎にバレるくらいだったらすぐに切るよ」
「本当に?」
「うっ...わかんない」
そう、以前の先輩のように、沙耶香はある程度気に入った人をそんなすぐには切れないだろうなとは思ってた。
「とりあえず今まで以上に気を配ること。
優貴には私から、沙耶香も反省してるし二度としないって言ってるからって感じで上手く佐々木君には秘密にしてもらえるように頑張ってみるね」
「うぅ美玖ぅ。大好きぃぃぃ」
全く、しょうがないな沙耶香は。
そんなに佐々木君が好きならもっと上手くやらないとね。
ホテルから出るとこを見られるなんて古典的なバレ方をするなんてね。
浮気するならバレないようにするのが原則なんだよ!
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