第12話 スキル画面が更新

 俺は心の中でスキルを意識する。スキル画面が目の前に現れる。


▲▼▲▼

【召喚可能ゲーム】


・レッドーオーシャン


・クレーンゲーム

→ぬいぐるみ


【投入金額】

銅貨×52枚

▲▼▲▼


 投入金額が追加されている。


 これきっと、レッドオーシャンのプレイ回数だよな。


 え? 実質1台でこんな遊んでいるの?


 あ、53枚になった。


「なんかすごいですよこれ!」


 ヴィヴィが楽しそうな声を上げる。


 なるほど、一枚増えたのはヴィヴィがプレイしたからか。


「どのキャラ選びましょう」


「ライドウさんライドウさんライドウさんライドウさんライドウさんライドウさんライドウさんライドウさんライドウさんライドウさんライドウさんがいいわよ」


 姉さん怖いよ!


「へぇー、ライドウさんがいいんですね」


 ヴィヴィは、姉さんが指示に従い、ライドウを選ぶ。心臓に毛が生えているのかただただ鈍感なだけなのか、ヴィヴィはまったく動じている様子はない。


 初心者がいきなりゲームをやっても、感嘆に勝てるものではない。だが、レッドオーシャンは、いわゆるガチャプレイでもNPC相手なら勝てる。


 ヴィヴィはまさしくそれだった。レバーを、ボタンをせわしなく動かす。それも仕方ないだろう。一度説明を受けただけで、異世界ではゲームの素養がまったくない状況で、プレイするとなるとそうなる。


「勝った! 勝ちましたよアニエス様! 勝ったら次の相手が出てくるんですよね!」」


「ええそうね。でも、次はもっと真面目にやりましょう。さっきコマンドは教えたわよね。いいライドウさんは、技を出すときの動作が格好いいの、声が素敵なの。わかる」


 抑揚のない姉さんの声。


「わっかりましたー」


 いつも通りの調子で、ヴィヴィは筐体に向かう。またしてもガチャプレイ。


 キャラクターの一挙手一投足に声を上げて、ヴィヴィはとても楽しそうだ。


 そんな声を聞きながら、俺はスキル画面を見る。ヴィヴィの背後に立つ姉さんは見たくない。


▲▼▲▼

【召喚可能ゲーム】


・レッドーオーシャン


・クレーンゲーム

→ぬいぐるみ


【投入金額】

銅貨×59枚

▲▼▲▼


 クレーンゲームには、ぬいぐるみと書いてある。


 どんなぬいぐるみなのかな……。わざわざぬいぐるみと書いてあるってことは、それ以外の景品も出るのかな。うーん、でもどうやって?


 スキルのことは、父さんたちが戻ってきてから聞いたほうがいいかな。


 それにしても、そろそろ戻ってきてくれないかな。


「わーい! また勝った」


 順調に勝ち進むヴィヴィのせいで、姉さんから発せられる雰囲気が段々と暗さを増していく。


 こんな空気耐えられない。


 早く戻ってきて!

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