第5章サイドストーリー2 伝説の始まり

 千は鎖壁市で、勇也、まりか、大喜と共に市役所にいる。勇也達勇者パーティは、鎖壁市の為に働いている。千はその手伝いをしている。

市役所内で、勇也は市長の娘に迫られる。勇也は困っているようで、苦笑している。

市長の娘が去った後、大喜は説明する。勇也は勇者として、姫と呼ばれる市長の娘との結婚が決まっている。まりかは幼馴染であるから、認められないらしいという。


市長の娘が去った後、勇也は勇者パーティの5人目について問う。まりかは、5人目について話す。

5人目の名は、詩歌楽しいからくという。楽は吟遊詩人で、各地を回り伝説を集めている。

かつて勇也が撤退した時、楽は勇也を見限った。そして楽は旅に出た。おまけに楽とは連絡手段が無い。だから楽を呼び戻すのは難しいという。


 勇也に会いたいという人がおり、千達は応対する。その人は、楽だった。

楽は勇也が魔王を倒したという噂を聞きつけて来たという。

楽は勇也を見限った事を謝る。楽は勇也では魔王を倒せず、伝説を生み出せないと思ったからだという。

楽は勇也に迫る。どうやって魔王を倒したのかと。

勇也は、千と共に魔王を倒した話をする。


楽は今のを伝説として、次の世代に語り継いでいくという。

楽が吟遊詩人になったのは、伝説を集め、それを人に伝えるのが楽しいから。その伝説を次の世代に伝える事が目標だという。

まりかも最初は、楽の話を聞いた。そして勇也の力になりたくて、自分で伝説を調べた。その時に天使の魔機を知ったという。

天使の魔機のおかげで、勇也は暗魔になっていない。そのことを勇也はまりかに感謝する。まりかは照れる。


楽は天使の魔機の話を聞いて、思い付いた事があるという。

魔機には暗魔が組み込まれている。それは勇者の魔機も例外ではない。その暗魔が話が通じる相手であれば、感情と記憶を返してくれるのではないかと。

勇也は試すつもりなのか、勇者の魔機を握り、目を閉じる。

しばらくすると、勇也は目を開く。そして、聞いた内容を皆に共有する。

勇也には勇者の資格がある。なので奪った残りの感情と、記憶を与える。

但し、与えるには魔力が必要。更に暗魔を倒し、魔力を得ろと言った。

勇也達は勇也の記憶を取り戻せる方法が分かり、楽に感謝する。


 楽は再び旅に出るという。千達は楽を見送ろうとする。

すると、オーサーの暗魔が現れる。オーサーの暗魔は再び魔王が現れたので、倒してほしいという。

かつての魔王は暗魔だった為、千達はオーサーの暗魔を疑う。しかしオーサーの暗魔は、魔王はTカスタムの魔機を持つ魔機使いだという。

オーサーの暗魔によれば、魔王は魔王城を作り出した。千達と楽はオーサーの暗魔に案内され、魔王城へと向かう。


魔王城はドット絵でできており、カクカクしている。魔王城を守る暗魔も、ドット絵だ。

千達は暗魔を倒しながら進んでいくと、魔王を目にする。魔王もドット絵だ。

魔王は人間の姿に戻る。魔王は、ドット絵の魔機使いだった。ドット絵の魔機は、ドット絵をモチーフとした盾である。

ドット絵の魔機使いは魔王として鎖壁市を支配し、そして世界を支配するという。

千達はドット絵の魔機使いを止める為に戦う。ドット絵の魔機使いは魔王となり、応戦する。


楽は歌で味方の士気を上げる。

魔王はドット絵のモンスターを使役して戦う。

戦い中、オーサーの暗魔は勇也を妨害する。

オーサーの暗魔の目的は、勇也を暗魔にする事。そして勇者システムを再び復活させる事。その為にドット絵の魔機使いを仮の魔王として立てた。

オーサーの暗魔は、ドラゴンの暗魔、スケルトンロードの暗魔、ヴァンパイアの暗魔に並ぶ、四天王の1人だという。

千達は、オーサーの暗魔とも戦わなければならない。


オーサーの暗魔はモンスターに属性を付与し、更に強くする。

千達は、劣勢に立たされる。

オーサーの暗魔は3つの魔機を集める伝説も、それ以上前の伝説も、全て自分が作ったものだという。勇者システムにのっとり、自分が作った伝説の通りに人物を動かし、時には演出を加える。そうして、勇者の伝説を彩ってきた。

勇也が魔王にならなければRPGの暗魔群は復活せず、新たな伝説も生まれない。オーサーの暗魔は、勇也が魔王になることを迫る。

伝説が作られたものと知り、膝を付く楽。


すると、王の剣が勇也の前に現れる。そして千達を包み込むキャンバスを展開する。キャンバスの中は、不思議な空間だ。

王の剣は話す。

勇者システムは、確かに先代の持ち主が作ったもの。しかし当初の目的は違った。

勇者システムは元々、RPGでレベルを上げるように技能を上げるのが目的だった。魔王と戦う頃には魔王を倒せるくらいの実力が身についている。

もう1つ、王の剣が悪用されないようにという目的もある。勇者は魔王を倒すため、魔王は勇者を倒すために力を使う。そうすれば、王の剣が悪用される事は無くなる。

千は思い出す。確かに、魔王は暗魔だったが王の剣で暗魔の王になろうとはしなかった。

王の剣は続けて話す。

長い年月の中で、段々システムが歪んで来てしまった。先代の持ち主がいないから、システムを直す事もできない。それどころか持ち主が変わり、システムが歪んだものになる。

それに、持ち主は当事者の気持ちを考えてなかった。王の剣は先代の持ち主に代わって謝る。

勇也は許す。勇者になった事で、感情と記憶を失った。けれども、仲間を手に入れた。そして鎖壁市を救えた。だから勇者になって良かったと。

王の剣は、キャンバスを閉じて勇也を元の世界に戻す。


勇也は王の剣を手にし、冠の力を使う。勇也は黄金の鎧を身にまとった姿になる。

そして勇也はオーサーの暗魔を倒し、ドット絵の魔機を破壊する。


 ドット絵の魔機使いは違法な魔機を使った事で逮捕された。

勇也は、勇者である事を捨てる。そして勇也は姫とではなく、まりかと結婚する事を誓う。

まりかは、一番の喜びを見せる。

大喜はその理由を問う。勇也によれば、勇也はオーサーの暗魔とドット絵の魔機、暗魔やモンスターから魔力を得た。それによって勇也に怒りと楽しみを含めた感情、そして記憶が戻った。

勇也は、自分がまりかの事を想っていた事を思い出したからだという。

勇也とまりかは、共に歩き出す。

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