第5章サイドストーリー 勇也のかつての仲間
千は鎖壁市へとやって来た。
かつて勇也は魔王を倒し、鎖壁市を救った。そして、ファンタジーだった都市を元に戻した。今は鎖壁市は、中世の街並みが残るけれども生活は現代と変わらない。
千は城の見た目をしている市庁舎を訪れる。そこには、勇也とまりかがいた。勇也とまりかは暗魔退治や町の整備など、町の為に働いている。
一方で、勇也は記憶を取り戻す手がかりを探している。記憶を知識として知ってはいるが、思い出せた実感がないという。
まりかは何か思いついたのか、連絡を取る。
しばらくすると、男性が来る。男性の名は戦人大喜(せんとだいき)。
大喜はまりかから連絡を受けて来たという。
まりかは大喜を紹介する。大喜は鎖壁隊の1人。鎖壁隊とは、勇也を隊長としてかつて魔王と戦った勇者パーティーの事。
勇也は困っているが、大喜は勇也を知っているらしく笑顔で話しかける。勇也と打ち解け、勇也は自分について色々と聞く。
大喜はある暗魔を追っていた。その暗魔は、ヴァンパイアの暗魔。
ヴァンパイアの暗魔は魔王に仕える四天王の1人。そして鎖壁隊の僧侶、十僧哀泣(じゅうそうあいな)を眷属にした。ヴァンパイアの暗魔を倒せば、哀泣は元に戻るかもしれない。仲間が揃えば、魔王を倒すことができるかもしれないと。
勇也は魔王を倒した事を明かす。大喜は驚く。そして、大喜は勇也と千に様々な質問をする。千は、鎖壁市に来てから魔王を倒すまでの話をする。
大喜は魔王を倒した事は嬉しいが、自分がいなくても勇也達が魔王を倒せた事には複雑な気持ちがあるという。
すると、千達に通信が入る。街にヴァンパイアの暗魔が現れたと。
千達は、街へ向かう。
千達は魔機を構え、ヴァンパイアの暗魔と戦う。
大喜の魔機は、戦士の魔機。戦士の魔機は、戦士をモチーフとした斧である。
大喜は魔機を軽々と振り回し、ヴァンパイアの暗魔らを倒していく。
ヴァンパイアの暗魔らを倒し終わった千達。千は、これで哀泣が元に戻ったと期待するが、大喜は甘くないという。今のは完全にヴァンパイアの暗魔と化した眷属。本体はどこかにいると。
千達は、ヴァンパイアの暗魔の本体を捜す。
勇也は記憶喪失の為、大喜や哀泣について知らない。そう言って勇也は2人について聞く。
大喜はお笑いが好き。いつも笑顔をモットーとしている。
もう1人の仲間、哀泣は本を読むのが好き。特に、悲しい話が好きだったという。
大喜は勇也の感情の起伏が無い事が気になるという。千は、勇也が記憶喪失になった過程が気になる。千はまりかが勇也の幼なじみで、伝説にも詳しい事を知っている。なので大喜と千の気になる事を聞く。
まりかは勇也の過去について話し始める。
かつて魔王を倒す為に、鎖壁隊が組織された。鎖壁隊は勇也、まりか、大喜、哀泣、そしてもう1人。その5人で、魔王を倒す旅に出た。
旅の途中、幾つもの暗魔に襲われた。そして窮地に立たされた。その度に勇也は勇者の魔機の力を引き出し、勝利した。
ある時、四天王最強と言われるスケルトンロードの暗魔が現れる。勇也達はスケルトンロードの暗魔と戦う。スケルトンロードの暗魔は魔法を巧みに操り、千達は敵わない。
勇也は勇者の魔機の力を引き出し、四天王最強を倒した。
しかし勇也は記憶喪失になった。自分が何をしているか、誰と一緒に戦っているかも分からなくなった。
それに、魔王はスケルトンロードの暗魔よりも強いと言われている。状況を整理するため、そして魔王を倒す準備をするため、勇也達は撤退した。
勇也はまりかさえも覚えていなかった。まりかは自分が幼なじみであること、自分は勇也と共に戦った事を説明する。そしてまりかは勇也をサポートする為に、盾の試練を受け持った。
後から分かった事だが、勇者の剣は、資格あるものには力を与えるが、資格無きものからは力を奪う。勇也は力を引き出した際、資格が足りず、勇者の剣から感情と記憶を奪われた。だから勇也は感情の起伏が無く、記憶喪失なのだという。
大喜は、喜びを思い出させるためだと言い、お笑いライブに勇也を連れていく。千もついていく。まりかは興味ないと言い、断った。
ライブ中、千は勇也の様子を観察する。
勇也は大喜を見て、ぎこちなく笑っていた。大喜の真似をしているのだろうと千は推測する。
その内、勇也は自然に笑えるようになる。勇也が喜びを思い出し始めているのだと、千は確信する。
ライブが終わり、千達はあそこが面白かったと、感想を言い合う。そして再び笑う。
大喜はまりかに、勇也が笑った事を連絡する。大喜の反応からして、まりかの反応も良さそうだ。
千は、ヴァンパイアの暗魔を見つけられるかもしれない方法を話す。
王の剣は12の暗魔を合わせて作られている。勇也の持つ王の剣には、鎖壁市を襲うRPGの暗魔群が合わせられている。その中には、ヴァンパイアの暗魔も含まれている。
剣の中のヴァンパイアの暗魔の波長と同じ波長をたどれば、本体にたどり着けるかもしれない。
勇也は王の剣を握り、目を閉じる。
しばらくして、目を開く。ヴァンパイアの暗魔が大きな屋敷にいる事を突きとめたらしい。
勇也に案内され、千、まりか、大喜は、屋敷に向かう。
屋敷には、ヴァンパイアの暗魔と哀泣がいた。哀泣の魔機は、僧侶をモチーフとしたメイスである。
勇也はヴァンパイアの暗魔が本体か、問う。ヴァンパイアの暗魔は自分を突き止めた千達を称賛する。
主が倒されても、暗魔が活動している事を不思議がる千。ヴァンパイアの暗魔は、主である魔王の遺志を継いで、鎖壁市の住民を暗魔に変えるという。
千達は、ヴァンパイアの暗魔と戦う。
戦い、ヴァンパイアの暗魔にダメージを与える千達。しかし哀泣は、ヴァンパイアの暗魔を回復する。驚く千達。
ヴァンパイアの暗魔によると、哀泣は完全に暗魔になった。だから自分達暗魔の味方であると。
完全に暗魔になってしまっては、元には戻らない。勇也を除く千達は悲しみながらも、哀泣を倒す。哀泣はヴァンパイアの暗魔から解放される。そして、哀泣は勇也と再び会えたことに、涙を流す。
哀泣は消滅する。
勇也が話に聞いていたかつての仲間、哀泣。哀泣は元に戻らず、消えてしまった。勇也は、涙を流す。
千は、勇也が悲しみを思い出したのだと推測する。
ヴァンパイアの暗魔は、これ以上眷属が倒されるのが許せないという。そしてキャンバスを展開する。キャンバスは墓場。
墓場からアンデッドが生まれ、千達に襲い掛かる。ヴァンパイアの暗魔も千達を眷属にしようと襲い掛かる。よける千達。
アンデッドは倒せないため、追い詰められる千達。千は、アンデッドやヴァンパイアは日光に弱い事を思い出す。そして、千は暁の魔機を具現化し、掲げる。暁の魔機は光を放ち、アンデッドやヴァンパイアの暗魔はひるむ。
勇也の元に、王の剣がやって来る。勇也は王の剣を握り、アンデッドを蹴散らす。そして、ヴァンパイアの暗魔を倒す。
哀泣を弔う勇也達。勇也は哀泣の事をもっと知りたい。その為に早く記憶を取り戻したいという。
千は、鎖壁隊の最後の1人が気になる。千達は再び勇也の記憶と、残りの感情を取り戻す手がかりを探す。
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