第61話 『迷宮のゴミ捨て場』

061 『迷宮のゴミ捨て場』


45階層、取り残された冒険者たちのいない経路をたどり、ジン達はそこに来ていた。

さすがに、深深度。LV15オーガジェネラルがすぐにLV18にまで上がる。


そして、そこには、そもそものお目当てのミスリルゴーレムがいた。

この階層では稀にしか出会わないモンスターらしいがちゃんといた。


「おい、起きろ、こんなところで寝ていたら死ぬぞ」とジン。

彼らを起こして回る、そもそも、電撃で失神させたのは俺だがな。

「お前らは運がいいぞ、そこの角を曲がれば、何とミスリルゴーレムがいる、チャンス到来だ」


「俺は荷物もちだからここらで失礼するぞ、ドロップの運搬は自分たちでやってくれ」


「待ってくれ、ここは?」

「へい、フェイクさん荷物持ちのおいらが、45階層まであんたたちも混みで運んできましたぜ」と嘲りを込めていう男。


「なんだと」

「いえいえ、礼など無用です、俺はただの荷物持ちですから、荷物を運ぶのは当然です、まあ、正直ゴミのような人間だと思いますが」

「なんだとてめえ」


「何を言ってるんですか、ここでは、何が起こっても誰も気にしませんよ、だからこれから何が起こっても俺も気にしません、準備はいいですか、ゴミ回収車がそこまで来てるんですよ」とジン。


「何を言ってる」

「そっちこそ何を言ってるんですか、狩りの時間ですよ、そのためにわざわざこのメルキアにきたんでしょうが、ほかの冒険者を犠牲にして進んでね」


「お前!」

「じゃあ、これで失礼しますよ、お元気で、ファイヤーボム」

その火の玉の爆弾魔法は角のほうに飛んで爆発する。


ミスリルゴーレムはその攻撃で敵が近くにいることを知り、角にやってくる。

そして、敵を発見する。


「何てことを!」フェイクが叫んだ時、ジンとオーガジェネラルはすでに風のように消えたあとだった。

「逃げるぞ、早く電撃魔法だ!時間を稼げ」

「雷よ、わが敵を撃て!」

しかし、電撃魔法(スキル)を金貨と交換されていたため、それは不発に終わる。

ゴーレムがどんどん近づいてくる。

タンクが渾身のシールドバッシュを放つがカンという軽い音しかしない。

タンクのシールドバッシュも盾術のスキルにより威力が強化されていたのだが、その盾術がなくなったために、威力が大幅に低下していた。

ゴーレムのフックがタンクを直撃する。

バコッ!バン!とタンクが迷宮の壁にたたきつけられる。盾への攻撃で後方の壁に飛ばされて、ぶつかったのである。

タンクは即死していた。身体強化のスキルがなくなったために、体が衝撃に弱くなっていたのだ。

ジャラジャラと血に塗れた金貨が鎧の隙から流れ出す。

スキルの代価で得た金貨があふれ出したのだ。


遠くの角から、昏い嗤いを浮かべる男がその光景をひっそりと見ていた。


<精神汚染度が3%に上昇しました。>

カナタの警告が届く。

俺は、アンジェラを待たせていることを思い出し、走り始める。

薄暗い迷宮の中を。身体強化魔法を使えばすでに風のように動くことができていた。

他のスキルも試す必要があるだろう。そう考えながら疾走する。


ミスリルゴーレムは、残った冒険者たちを悉く惨殺した。

その様子をヤミガラスが見ている。その目には、もちろんなんの感情もない。

迷宮内ではよくあることにしか過ぎない。


そしてモンスターは、そのような人の生き死になど気にもしないのだから。


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