第60話 『カードマジック』

060 『カードマジック』


ジンは40階層守護者との死闘後にレベルアップした。

それと同時に、カードプレイヤーレベルも上がった。


<カードプレイヤーレベルが上昇しました。カードプレイヤーレベルは6です。>

<プレイヤーは、カードマジック(相手のスキルを対価と入れ替える)が可能になりました>

頭の中にカナタの声が響く。 


ジンのレベルは30まで一気にあがった。

そして、緊急事態をアルテリオスと2人?で何とか乗り切った。

アルテリオスもLV13からLV20へとジャンプアップした。

弱いために、隅に召喚していたのである。


そして、カードプレイヤーレベルもあがった。

カードマジック(相手のスキルを対価と入れ替える)、カナタの回答では、対価は何でもよく、一番簡単なものは、金(かね)でよいということだった。


そして、それは相手の意思とは無関係に入れ替えることが可能なのだ。

これこそがカードマジック。嫌、本当はイカサマに近いものである。


この世界では、パラメーターの力は絶対だが、変数もないわけではない。

それがスキルである。運よくスキルを得るものがいる。

訓練を重ねて、スキルを得るものがいる。

スキルはものによるが、パラメーターに影響する。又は、必殺の一撃を手に入れるものもいる。

ゆえに、レベルが低くてもスキルがあれば、勝つことも可能ということが起こる。

番狂わせが発生する。

あくまでもパラメーターが近い場合に限られるが・・・。


プラチナ級にもなれば、スキルを持っている。

だから、強いのだ。ということも言える。


「さてと、じゃあ交換だ」

全員が雷により意識を失っていた。

「何々、金貨20枚だと、高いな!」

からのカードに買い取られたスキルが書き込まれていく。

「なんだと!金貨50枚だと、これじゃあ、40階層の金貨すべて吐き出すことになるじゃねえか」ジンは、カナタと会話しながら、スキルを奪っていく。


スキルがいくつもあり、それを抜き取るたびに金貨を支払う必要がある。

持ち金がすべて、スキルになってしまったのだ。金貨はイカサマの代償なのである。


「おい」ジンは、フェイクを軽く蹴とばす。

フェイクは失禁して、気絶していたが、うなりながら起き上がる。

「おい、お前、さっき命が惜しかったら全部くれるって言ってたな」


「本当に助けてくれるのか」

「ああ、俺は嘘は言わん」

あたりを見回すフェイク。

のびた仲間たちが見える、しかし、一人足りない。

「カホアがいねえぞ、カホアをどうしたんだ」

「え?そんな奴いたか」ジンはそんな奴のことなど気にもしていなかった。


<モンスターLV45カホアを獲得しました>ひっそりとカナタが教えてくれる。

<精神汚染度が2%になりました>

カホアは、雷のショックで死んだのである。


「そもそも、そんな奴はいなかったか、逃げたんじゃないか?お前の仲間だしな」とジン。本当のことは、まさに闇の中である。


「手前!」

「それよりどうなんだ、くれるんだろう」

「俺を殺す気だろ」

「もうとっくに殺してるよ、やる気ならな」


こうして、彼らの金貨を無理やり譲ってもらう。

そして、再度、フェイクを電撃で眠らせる。

ほぼすべての金貨を使い、カードマジックでスキル交換が終わる。


「アンジェラ、待たせたな。しかし、もうちょっと待っていてくれ、セーフティーゾーン内は安全だからな」今まで安全を脅かしていた男がさらりと言う。

アンジェラが気付いていることはずっと前に知っていた。

「アンジェラ、こいつらの始末をしてくる、アルテリオスと待っていてくれ」

「アルテリオスは、顔は怖いが気はいいやつだから、心配しなくてよい」


アルテリオスとはミノタウロスで身長2m、目が赤く怪しく光っている。まさに、階層守護者の風格を持っている。


「ジン!殺すの?」とアンジェラ。

「俺は、約束を守る、しかし、ゴミはゴミ捨て場に捨ててくるよ」


「じゃあ、ジェネラルと一緒に、45階層くらいまで、ゴミを捨てに行ってくる。その間少し待っていてくれ、すぐに帰る」とジンは言い放った。


こうしてジンは2人と、ジェネラルは3人を担いで、走り出した。

彼らの身体能力では、人間の2人や3人は軽いものだった。

風のように、迷宮内を駆け抜ける。


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