第51話 守護者の部屋の扉

051 守護者の部屋の扉


LV35オーガジェネラルとLV30オーガソルジャー3体、LV25オーガメイジ、そしてLV20オーガクレリック。

この迷宮でもかなりの難関である。

とにかくオーガ全般の身体能力が高いこともさることながら、HPがとにかく高い。

そして、最も問題なのは、そのHPを何とか削っていくと、クレリックが何と治癒し始めるのだ。


とにかく、それではとクレリックを狙うと、メイジが魔法で牽制し、ソルジャーが守りに行くという、何とも難しい戦いを強いられるのである。


まあ、今回の俺は荷物持ち、なんら関係がないのだがな。

荷物持ち故、カード達の出番がないので連れてきていない。

俺が、一緒に行かないというと、彼らは、里帰りをするという。

カードに帰る里があるのか、それともそういう設定なのかは不明だが。

ティア様は、ジェネラルを連れて、フェン様は、プリンシパリティを連れて帰っていった。


「儂らがかえるまでおとなしくしておるのじゃぞ、泣くでないぞ」

そう言って彼らは里?に帰っていった。

本当にあるのだろうか?里。しかし、狼には確かに両親がいたことは確かだ。


そうすると、カードから絵がなくなるのが不思議だ。


扉前、いよいよ明日攻略組がここに突入する。

扉は、開いている。開いても、中に入らなければ問題ない。時間がたつと勝手に閉まる。

中に人が入ると、決着がつくまで開くことはない。


死神の鎌のメンバーがあけたのだ。

「さあてと、明日は、ボス攻略だ。なあ。お前。」

俺は、興味本位で扉の奥を眺めるために、扉の前に来ていた。

その時、死神の鎌の男たちが近づいてくる。

「荷もちはいいよな、待ってるだけだからな」

俺たち荷もちは室内で待機。戦闘が勝利することを祈るのみだ。

荷もちが戦闘しても殺されるだけだから当たり前のことだ。


「ところで、お前さあ、あの女冒険者の連れらしいじゃねえか」

「いえ、彼女とは知り合いなだけです。命を救っていただいたので」

「そうなの?なんだかパーティー組むとか言ってるらしいじゃん」

「そのようなことは、クラスが違いすぎますので」

表向き、俺は銅、彼女は金だ。


「フーンそうなの」

「はい」

「でもさ、お前邪魔なんだよね」

しゃべっていた奴とは違うタンク役の男の強烈なシールドバッシュが俺をはじき飛ばす。

グワンという音を立てて。


さすがに不意を突かれ、さらに強力なシールドバッシュを受けた俺は、後ろに数回転がった。

「何をする!」

今まで言ってきた通り、パラメーターの差によってダメージはほとんど無い。

「え?きいてねえだと」

タンクの男に驚愕の表情が浮かぶ。

タンクのシールドバッシュは殺すつもりで放たれたようだ。


その音を聞きつけた者たちがこちらにやってくるのだが・・・・。

その時初めて、俺は問題の本質を知った。

俺は、ボス部屋の一線を越えてしまったのだ。


ギギギ、扉が閉まり始める。

「嘘!だめだ、出せ」

しかし、まだ扉は閉まり切っていないにも関わらず、出ることはできない。

一度入れば、敵を倒すまで出ることはできないからだ。

隙間に身を入れればと動いてみるが、それが不可視の防壁によりはい出ることは叶わななかった。扉の開閉とは無関係なのだ。


それがボス部屋の掟である。


ギギギギギ、ガシャーン!轟音と共に扉は閉じられた。

そして、それは倒すか倒されるかの死闘の始まりの合図である。




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