第22話 経験値倍増の腕輪?

022 経験値倍増の腕輪?


「こんな雑魚を狩っても大した経験値にはならん、もっと下に往くぞ」

幼女は、盾なしの鎧をエンジェルに着せてもらい、そう宣言した。

宝箱には、幼女用の金属盾も入っていた。盾なしの鎧なのに、盾は用意していたのである。


「うむ、危ないから母上がどうしても盾を持っていけとうるさかったのじゃ」

ということらしい。


黒い金属製盾である。幼女が持つと大盾になる。

とても重く、俺でも片手で持つには、難しいのだが、幼女はそんなことは気にせず持っている、軽々と。


「儂は、これを黒亀となづけようと思うのじゃ」

少し、盾が可愛そうだ。いわれてみれば亀の甲羅に見えないことはないが・・・。


「そうじゃ、儂の名前をまだ教えてなかったな。儂の名前はティアマトじゃ。ティア様と呼ぶがよいぞ」


「私の名前はジンです」

「勿論、知っておるぞ。テンドウ・ジンじゃろ」


「儂の婿になるのじゃ、いまのようなヤワでは困るのじゃ。しっかり励めよ」

「ははあ」


命令に慣れ切った態度ゆえに、逆らうことができない。疑問をさしはさむ隙すら見つからない。

因みに、ゴブリンソルジャーの希望していた、ジェネラルの兜は希望通り入っていた。


「では、参るぞ」こうして、10階層より下層へと向かうことになる。

ティア様の盾攻撃が、あらゆる生物を破壊する。例外はない。


すでに虐殺の域に達している。

15階層まで、圧倒的速度で前進してきたが、そこで終了となった。

キャンプする装備がなかったからである。


ゴブリンソルジャーはLV15、エンジェルもLV15、俺はLV22、そして幼女はLV11へとレベルアップを達成した。


「ふむ、さすがに、経験値倍増の腕輪をもってしても、この程度の雑魚では限界を感じるの」幼女はとんでもない爆弾発言を繰り出した。

「ティア様、どういうことでしょうか」

「うむ、そうよなジン。儂は種族的な性質ゆえレベルが上がりにくいのじゃ。そこで、母上にお願いして、この腕輪を借り受けて来たのじゃ。名前は別にあるが、性質上、経験値倍増の腕輪としておこうかの」

「私達にも効果はあるのでしょうか」

「あるのではないかの。はっきりとは知らんがな。おぬしもレベルが上がったであろう」


<一定の経験値を獲得し、条件をクリアしたことにより、ゴブリンソルジャーはゴブリンサージェントにクラスアップすることが可能です>頭の中に、感情が希薄なカナタの声が響く。


「クラスアップだ」

<LV15ゴブリンソルジャーはLV15ゴブリンサージェントにクラスアップします>


ゴブリンソルジャーは、神々しい光に包まれる。

そして、少し体格が大きくなって、終了した。

眼の赤い光が少し弱くなった。

「ギギ。ヨロシク」某有名な悪魔ゲームのようなセリフのゴブリンサージェント。

「サージェント、ついに人語が話せるようになったのか」俺は、眼の色におびえながらも、体の大きくなったサージェントを抱きしめる。

「オレサマ、オマエマルカジリ」

「うわ!」俺は飛びのいた。


「ファーー」エンジェルが不満の声を上げた。

自分にも何かないのかと、お冠になったようである。

カードが何かを要求してくるとは、世も末だ。


しかし、エンジェルの目は真っ赤に染まっている。

かなりの怒りなのだろう。

そういえば、もともと赤かったな。



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