第20話 黒龍召喚
020 黒龍召喚
俺たちは、再び10階層ボス部屋前にきていた。
今回は、前回いなかったLV10黒龍(幼体)がいる。
少し時間はさかのぼる。
「よし召喚、モンスターカードをフィールドにセット。」
ゴブリンソルジャー、エンジェル。
魔法陣が現れ、LV12ゴブリンソルジャー、LV11エンジェルが出現する。
ゴブリンソルジャーは、前回俺から毟りとった装備をすでに装着していた。
カードの姿も装備済みの絵に変わっていた。魔法みたいだ。美麗イラストだ。
問題は、目が赤く怪しく光っていることくらいだ。
エンジェルもサークレットを装備している。勿論、天使も御多聞に漏れず赤く目が光っている。
「ギギ」
「ファー」
相変わらず、ギギとファーである。このファーは今思い出したが、オルガンとかパイプオルガンの音に似ている。道理でどこかで聞いた事のある音だと思ったのだ。
「よし、黒龍カッコ幼体カッコを召喚」
魔法陣が出現した。
そう、その時俺は黒龍の幼体がどんなものかは知らないが、きっと小さな蜥蜴のような者が出てくると考えていたのだ。
カードは見たのだ。カナタのシステム画面で。
しかし、なんと絵ずらには、画像は現在準備中の文字が。
画像が準備できていないのに、ドローできたのが不思議なのだが、何故に準備中なのか。
それでも、召喚は可能なのだった。
召喚陣の中には!!!
「え!」
「主もかなりの好きものよの、幼女の裸体が好みとはの」
黒目黒髪の幼女が全裸で、出てきたのである。
「まあ、儂は見られても何ら痛痒を感じぬがの、見たければ見るがよいぞ」
何とも破廉恥な、幼女?が両手を広げて、言い放ったのである。
「緊急事態、送還、送還だ、カナタ」
そうして、幼女は送還されて消えた。
「カナタ、今のは、黒龍なのか」
<はい>
「裸の人間いや幼女だったぞ」
<竜族の一部には人間の形を取ることができるものもいるとされています>
「でも裸だったぞ」
<服をきていなかっただけなのでは?>
「いや、カード何だろう?」
<非開示事項です>
<服を着るように、連絡します>
「ああ、頼む」
なぜか、カナタと話し込んでしまった。
<今なら、大丈夫です>
「なんだ、その微妙な言い回しは」
<服を着ました>
「服で大丈夫なのか?」
<・・・・・>
「カナタさん、なんか都合悪いと、そんな感じにわざとしてませんか」
<今なら、大丈夫です>
「仕方ない、黒龍カッコ幼体カッコを再度召喚」
魔法陣が現れ、幼女がまた現れる。
今度は黒のワンピース姿である。
「おお、今度は服をきている」
「何じゃ、残念さが感じられるのお」
「いや、ともかく、何で幼女」
「何じゃ、儂は女じゃぞ、しかしまだ幼いのじゃ、仕方なかろう」
「黒龍なのでは」
「何じゃ、儂のような幼女の姿が好みなのではないかと、わざわざこの姿を取ってやっておるのじゃがの、気に入らんとでもゆうのかの、おぬしは」
「いえ、そのようなことは決して」
圧力に負けて、つい言い負かされる。
「素直でよろしい、頼むぞ、ジンよ」
「仰せのままに」
「うむ、苦しゅうないぞ」
「ははあ」なぜか、平伏する俺がそこにいた。
万年鉄級冒険者は、権力に虐げられることに慣れているのである。
体が素直に反応してしまうのである。
こうして、さらにこの世界の法則から外れていく。
地球だったら、もうじきに月が地球に落ちてくるのではないだろうか。
それは衛星軌道の話ではなかろうか。
要は、人外魔境へと足を踏み入れはじめたということだった。
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