第13話 再びドローに挑戦!

013 再びドローに挑戦!


俺は、この街の安宿を常宿としている。

そこに帰ってくる。近ごろは稼ぎもよくなって来たので、もう少しいい宿に変えたりしてもよいのだが、染みついた貧乏癖がそれを良しとしない。


「よし、今度こそドローするぞ」

<現在、プレーヤーのレベルは20です。山札から20枚ドロー可能です。

また『女神の祝福』の効果により、山札から50枚ドロー可能です。合計70枚ドロー可能です。ドローしますか?Y or N>

相も変わらずカナタの無機質の声が脳内で聞こえる。


「よし!俺のターン、ドロー」

キラキランと頭の中でカードが引かれる。


<コモン 火の土地>

「え?」まさかの地形カード、てっきりモンスターがくると思っていたぜ。


「カナタ、火の土地のカードの使い方は?」

<場に出すことにより、プレーヤーの攻撃力が若干上昇します。土地のカードは消滅しません。>

「ということは、クリーチャーを呼ぶことによるコストの関係は?」

<関係はありません。プレーヤーの攻撃力が若干上昇します>

マジックザドラゴンのようにコストとは無関係らしい。

じゃあ、何でいるんだよ。

<攻撃力が若干上昇します>カナタは壊れたレコードのように同じことを繰り返す。


「もう一枚ドロー!」

キラキラン!

<コモン 水の土地>

<場に出すことにより、プレーヤーの回復力が若干上昇します。土地のカードは消滅しません。>

「因みに、今使えるカードは何枚?」

<カードプレイヤーレベル2は初級者のため、3枚同時に使うことが可能です>


「もう一枚ドロー!」

キラキラン!

<コモン 金の土地>

<場に出すことにより、プレーヤーの防御力が若干上昇します。土地のカードは消滅しません。>

「おい!」


<はい、ジン様>

「クリーチャーカードはあるのか?」

<クリーチャーではなくモンスターカードは存在します>

「コモンにはあるのか」

<モンスターカードはあります!>

「コモンの出現確率は?それに、今のは何かの物まね?」

<非開示情報です>


「くそ!」

<申し訳ありません>

「悪かった。お前に怒った訳じゃないんだ」

<どういたしまして>

なんとなく、かみ合わない。

<カナタ、場に出すとは?>


<神器『カード大全(カードコレクションブック)』にプレイボードが存在します。そこにカードをセットします。セットしますか?>

「ああ、頼む」

<三枚の土地カードをセットしました。土地のカードの効果により、プレイヤーの攻撃力、防御力、回復力が若干上昇しました>


「カナタ、若干ってどれくらい?」

<5%です>


「そうか、でも今の数値がわからないと、何処から5%上がったのかわからないしな」

そう、俺は、システム修復後、大きく成長したようだが、具体的な数値などは不明なのだ。

ギルドに計測機はあるのだが、その機械でわかるのはレベルだけだ。

だから、俺もレベルだけは、一人前だったのだが、壊滅的に弱かったという経緯がある。


「ジン様のパラメータはこのようになります。」

NAME JIN LV 20

CPHP     1000

体 力 HP  388 魔 力 MP   147


攻撃力 AT   200 防御力 DF  144

魔 攻 MA  289 魔 防 MD  147


筋 力  STR  96

知 能  INT  97

素早さ  AGI  94

器用さ  DEX  96

体 力  VIT  96

運    LUC 101


「なるほど、そうなのか。だが、カナタ比較対象がないと、どうしようもないな、それにCPHPって何?」


「CPHPとはカードプレイヤーに与えられた生命力になります」

「HP 388との関連は?」


<CPHPが1000の場合、大きい数字を優先しますので、ジン様のHPは1000ということなります>


「ふ~ん、そうなのか。ありがとう」

<どういたしまして>


夜は更けてゆく。

様々な新現象の解明が続く。

カナタは眠くならないのか、しかし、俺はすぐに睡魔に襲われて眠くなったのだが。


因みに、土地カードは常設できるカードであり、モンスターカードの使用枚数とは関係ないのだが、その時にはまだわかっていなかったというか、こんな会話で分かるわけがない。

そもそも、カードゲームなのに対戦相手がないのである。

分かり合える場もなく、必要もないのであった。




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