第10話 扉
010 扉
こうして、ゴブリンLV5を獲得する戦いが始まった。
LV1ゴブリン、LV1スライムでは、次々と惨殺されてしまう。
途中から自分で倒す方が遥かに早いことに気づく。
成長した能力は、LV5ゴブリンなど寄せ付けない。
こうして、確率的な問題をクリアしながら5階層を周回していく。
そして、それは日を追うごとにさらに深層へと進んでいった。
10階層、此処には、いわゆるボス部屋が存在する。
此処をクリアすれば、晴れて銅級冒険者になれる。
いよいよ、鉄を卒業する日が近づいている。
此処に至るまで、俺は冒険者LV19へと成長していた。
10階層のボス部屋は、一人で挑むものではない。
パーティーを組むのが常識だ。通常、慣例では6人パーティーになっている。
何故か、そうなっている。理由?そんなものは知らない。
だが、それ以上で入ることも可能だ。しかし、その場合はペナルティーなのか、敵の数が増えたりするらしい。ゆえに、6人が限度なのである。
そう俺もはじめはパーティーを組んでいた。
だが、今は一人。
かなりの嫌がらせやいじめを受けた俺は人間不信になっていたし、そもそも悪名「万年鉄級」が広がっていたので、もう組んでくれる奴はいなかった。
あれから、迷宮産の物資をギルドで販売し、多少の金は得たので、アンジェラに金貨3枚分は返済した。
彼女は別にいいのにといったが、俺はそういうわけに行かなかった。
誇りの問題だ。
美しい冒険者アンジェラは、俺が生き返ったことを素直に喜んでくれた。
この世界で初めて、幸せを感じた瞬間だった。
正直にいうと、後で泣いてしまった。
LV5ゴブリンが十数枚集った。
他にも、あるのだが昆虫系は、俺のいう通りに行動してくれない。
知能がほぼないからだろう。ほぼ本能しかないから。
ポ〇モンマスターを攻撃するな痴れ者め!
スライムもいうことききにくい。
ゆえに、戦力となりうるのは、ゴブリンのみと考えた方が妥当だ。
そして、ついにボス部屋の扉を発見する。
かっこいい言い方だったが、遥か昔から地図が売られており、それを買えば、発見する必要もなく、たどりつくことはできるのだが。
だが、これも知られていることだが、このボス部屋の中には、今までとは全く話にならない強敵(友ではない)がいる。まさしく殺しに来る強敵だ。
ゴブリンジェネラルLV10 1体
ゴブリンソルジャーLV5 3体
いきなりの将軍の登場だ。しかも、護衛までいる。
今までの普通のゴブリンとは違うらしい。
冒険者LV19の俺だけでは苦しい。
おそらく死ねる。
この10階層ではLV8ゴブリンが複数体出るようになっている。
今の俺なら、一瞬で殺戮できるようにはなっていた。
おそらくスキルも生えて、剣術とかできてそうだ。
剣の動きがなめらかだ。
死にかかった時は、短剣だったが今は筋力ができたので、普通の剣と小型盾を振り回している。
しかし、借金もあるため、装備の更新も進まず、安い剣と小さい丸盾という感じだ。
今俺のカードプレイヤーLVは2、複数枚のカードを使うことができる。
ゴブリン部隊3匹と俺のパーティーで勝つことができるか。
命をかける選択だ、やっぱり無理だろう。
俺は、ボス部屋の前から帰還の途についた。
焦る冒険者は命を落とす。
俺は、決してもう間違わない。
慎重に慎重に。できる限りの安全マージンが必要だ。
まだ、世界は震撼していなかったのだ。
いや、俺の真の力がまだ覚醒していないからだ、そうに違いない。
俺の右目が疼く早く、敵を屠れと。
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