アウル

プロローグ

チャイムが聞こえ、授業終了の礼をする。

僕は一目散にトイレに駆け込み鍵をかける。別にお腹が痛いわけではない。理由があるのだ。それは…。

ガラガラと引き戸を開ける音と共にバタバタと足音が近づいてきた。それに比例するように恐怖心と侮蔑の感情が迫り上げてくる。

「おい!隠れたって無駄だぜ!化け物!」

相変わらず小学生かとツッコミを入れそうになるあだ名を叫んでいる。

「なぁ佐藤、今日こそボコろうぜ」

威勢だけはいいがそれだと痛いだけだぞ佐々木。

「爪を剥ぐのは任せてよ。拷問得意だからさぁ」

…中学生かよ。現実見ろ木村。そんな精神力お前にはない。

「ここにいるんだろ?化け物の分際で人間様のトイレ使ってんじゃねぇよ!」

佐藤、すまんな。顔に傷跡あるけど人間なんだわ。

ガンッ!

蹴りの威力的に佐々木かな?確かに威力だけはあるんだよなぁ。こいつ。てか、扉若干凹んでないか?これ弁償じゃないよな?頼むから弁償になってもこっちに飛び火しないでくれよ・・・。

「おいこら!お前ら!何してる!」

この野太くて低い声は…体育教諭の後藤先生かな?あいつら逃げ切れるのかね

「この高校の名前に傷をつける行動するんじゃない!」

後藤先生の口癖だ。人助けをする時も怒る時もこの言葉をいう。見ててわかるが絶対建前だ。恥ずかしいのか何なのかはわかんないけど。

「化け物がいる方が学校の名に気を傷をつけるんじゃないんですかぁ?」

おぉ。佐藤、先生を煽りよる・・・。勇気あるなぁ。

「うちの高校に化け物なんておらん!訳のわからんこと言っとらんで散れ!」

「へっ。気取りやがって」

と言い捨て離れていく足音が聞こえる。

それにしても三下みたいな捨て台詞だったな。

「…。お前もいい加減対策したらどうだ?あんなのどうとも思ってないだろ」

バレてるなぁ。

「めんどくさいのとツラ合わせたくないので」

これでいいかな?

「そりゃ、お前は顔合わせるの無理だろうが…。まぁ、お前がそれでいいならいいと思うがあんまり、調子に乗らせるなよ?」

先生もあいつらを心配してるんだよな。

「ライン超えるようだったらちゃんとしますよ」

「そうしてくれ」

そうして、後藤先生も帰っていった。

鍵を開け外に出る。人がいないことを確認し安心する。その時、ふっとそよ風が吹き顔にかけてある布が舞う。ちょうどその時、一人の学生が角から現れた。その学生の顔は酷く醜く歪んで見えた。


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アウル @owl_2857

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