一緒に生きたいと言った。今の私では不足だと応えがあった。未来の私ならどうか、そんなことを尋ねる気になれなかった。

 なぜなら、あなたも私も、今を生き、今の積み重ねの内に死んでいく。その今を預けるに不足だというのなら、それがすべてだ。今、に未来の仮定など不要だ。

 私の揺らぎが不安だという。私の精一杯の労りも強がりも虚勢すら、まだ望むべき場所には届いていないという。虚しさが胸を占める。けれど、虚しさの裏側に清々しさがあった。

 あなたは、私には届かぬ高みを求めている。

 あなたは、私の望まぬ高みを求めている。





20221209

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