スポーツスタッキング(才能のクリスマス会)

 スポーツスタッキング

 積み重なったプラスチックコップを山型に積み重ねて元に戻す。


 ただそれだけ、手順は決まっているので、正確に速く手を動かす。無駄な動きを極限まで省くことが求められる。

 コップの縁が僅かに触れて、揺れ乱れると大きなタイムロスを生む。


 ここは、とあるクリスマス会


 外は粉雪舞い散る極寒だが、この一室は熱気に溢れている。


 クリスマス会に次はない!

 才能が全ての決戦が始まる。


 スポーツのように、事前に練習をし、努力を積み重ねるわけではない。

 ほんの数回、数分にも満たない事前の練習とルール説明、次の瞬間には本番だ。


 レクリエーションの世界こそ、魔境。

 アスリートならば誰もが持つ「勝ちたい」それが押さえることなどできない。

 目をむくように他人を見つめ、わずかでも技術の習得に努める。

 必死!

 ベストが他で示された、他の競技者の後塵では無く、自らが切り開く最高のパフォーマンスを求めて脳がフル回転をする。


 優勝賞品の人生を体験できるボードゲームなどおまけに過ぎない、ここは競技者のみが集められた部活動のクリスマス会。


 勝利以外は認められない、絶対に勝ちたいのだ。

 勝敗が決する度に叫び声がこだまする。

 そんなヤツ等の集まりなのだ。


 優勝は、メンタルが強く手先が器用なヤツであった。

 俺ではなかった。

 スポーツの世界、努力が通じる世界に生きる幸せを感じることが出来た。

 明日からいや、今から一段と努力に励める確信に口の端が歪む。

 やってやる!心の炎が燃え盛るのを感じる。


 勝利を求めて叫び声が轟き合う。

 最高のクリスマス会はまだまだ続く。

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