ラグビー(ALL FOR ONE?)

 ボールを持つ選手を先頭にぶつかり合う競技である。

 つまり、自陣にボールがあるときは守備する範囲が広大となり、密度が薄く攻め易く、ゴールラインに近くなるほど守備の密度は上がり守り易い。

 ゴールラインを巡る攻防は、数センチ進むことすら困難になっていく。


 ゴールライン目前、スクラムからのセットプレーだ。チームの司令塔が作戦を決め指示を出す、確かに重要だが所詮、最初の第一歩に過ぎん。


 センターの俺様が、その作戦の成否を決定づける。


 俺様にボールを任される。センターの仕事はぶち抜く、ひたすらに強引なランで相手の守備を破壊し突き抜ける。

 だが、俺様が相手の陣地を1m、1cm、1mmでも前に進めばどいつもこいつも俺様を倒そうとかかってくる。


 絶対に負けん!

 トライは譲らん!

 我儘なヤツと言われようとも辞めん!

 タックル?助走がとれないこの場面のタックルで俺様が止まる訳がない。

 3人を相手にしたところでトライを確信する。


 この時、フィールドは乱れに乱れてる。皆が俺様に注目する。俺様は味方を注目する。


 決定的なパスを出す。

 見えちまってるんだよ、スカシタ、組織的守備とやらでろくにタックルに行かねークソヤローが。

 超絶トップスピードに乗ったウイングにボールをくれてやる。


 この時ばかりは認めてやる、俺様のおかげとはいえ、トライを決めるウイングを。

 

 みんなは一人の為に、ALL FOR ONE?

 クソっ喰らえだね。

 みんなは勝利の為に!

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