バレーボール(敵のエースを殺す)

 リベロ、得点に参加しない選手だ。

 リベロは、サッカーのゴールキーパーに近い。


 否!


 相手の絶対的エースによってボールは

 ブロックを越え、避け、叩き込まれる

 スパイクで失点する

 フェイントで失点する

 触れど失点する

 上げれど失点する

 俺の手に届く範囲に、ボールを集め

 俺の手の届く範囲で、失点を重ねる


 俺たちは勝利のために全力を尽くす。

 この失点は、相手エースを潰す準備だ。


 エースの技を破壊する。

 得点を取る欲望に溺れさせ、もっと際どい所を狙わせる。ライン上以外の得点を許さない。俺はライン一本分、味方のフォローに回り強固な守備を取る。ライン上の成功体験はエースをより深く感覚と調子を狂わせ、ラインアウトで得点する。


 エースの体を破壊する。

 雑魚の得点を潰し、エースの得点しかゆるさない。得点パターンを絞り、固定化する。

 徹底して休ませない。アタックにブロックと足を止めさせない。俺たちの移動攻撃で揺さぶり走らせブロックの跳躍を強制する。わずかな疲労が、エースの足元を沼に落とす。跳躍の僅かな低下が始まる。

 エースの技と体の破壊が重なれば、味方のブロックの威力は倍増する。リベロは孤独ではない、チームで相手のエースを殺す。


 エースの心を破壊する。

 一人で大量の得点を重ねるほど、自身の力が突出すればするほど、自身による失点は指数関数の様に巨大な重圧となり、エースの心を圧し潰す。

 技と体を支える心が枷へと姿をかえる。技、体、心はリンクする、一つ砕けば連鎖する。


 チームの力で勝利する。

 俺は得点を創り出すリベロだ!

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