第15話 新しい企画も大ヒット

昭和的でレトロだが子供に受けない訳がないと伝えた。

「流石、閃きの陽子。本領発揮だね」

「なにその閃きの陽子って」

「最近噂されているんだよ。君の閃きがいつ開くかと」

早速企画会議が開かれた。半分程度の人は古くないかと疑問を持つものがいたが五十代過ぎの課長クラス以上が懐かしさもあり面白いと言ってくれた。

企画が通りお菓子メーカーに製造を依頼し次にキャラクターの使用許可を取るために出版会社などと交渉に入った。我が社独自のお菓子のため他の会社では売る事が出来ない。つまり独占販売だ。あとは値段をいくらにするか最終段階に入った。

ところが陽子はお菓子の部分は二百円、オマケには三百円とし五百円で売ってはどうかと言った。本体のお菓子よりオマケに比重を置いた。

「いくらなんでも高すぎじゃないか。せいぜい二百円だろう。子供は手が出ないだろう」

だが陽子は一歩も引かない。

「安いと景品もそれなりに安い物になります。五百円なら立派な飴細工が出来ます。飾ってもおけるし食べるには勿体無いオマケです」

「じゃあターゲットは大人という事か」

「さぁそれは子供でも欲しいとなれば小遣いを節約しても買います。それだけ価値ある商品にしたいのです」


これまでにない高いオマケ付きのお菓子となったが子供は勿論、中高年にも受けた。

これが話題となり巷では、どんなキャラクターが入っているか楽しみだ。つい別なキャラクターが欲しくて二個も三個も買う人がいる。こうなれば売れる一方となり品切れ状態まで起きた。またしても陽子の企画は大当たりだ。五百円では高いと言ったのを押し切ったのだ。

陽子は特例で社長賞と特別ボーナスをもらうことになった。今や社では東野陽子の名前を知らない者は居ない。やがて休暇を申し出た。理由は頭を整理し次の企画に備えてリフレッシュしたいと。会社は簡単に許可してくれた。しかも特別有給休暇という名目で与えてくたれ。好きなだけ休んで頭を空っぽにして復帰してくれれば問題ない。なんたってヒットメーカーの陽子は超売れっ子歌手みたいな存在となった。

おまけと言う訳ではないが坂本も同じく有給休暇が認められた。会社でも二人の仲を知らない者が居ない。二人のコンビは新しく企画を生み出す安打製造機みたいなものだ。


つづく

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