第4話 失恋同盟
失恋同盟? とても褒められた同盟ではないが確かに仲間が出来た事は間違いない。しかしパワハラにあった統子が気の毒でならない。
「ねぇ統子、黙って辞めて悔しくない。退職したって会社に訴えを起こせば。このままほって置けば第二第三の被害者が出るわよ。相手は上司なの?」
「そう、嫌な課長だった。でも今更そんな事をしてもどうにもならないわ、そりゃあ悔しいけど」
「それなら仇を取りましょうよ。どうせ暇なのだから。任せて失恋同盟が付いているから」
みんなはドッと笑った。確かに四人共むしゃくしゃしている。何かを見つけないと。
それがきっかけで何かが見つかるかもしれない。
それから一週間、四人とも無事卒業出来た。あとは最寄りの警察署で運転免許証を貰うだけだ。私達四人は再会を約束し、それぞれ帰宅した。
私はまたコンビニのバイトに復帰した。それから更に一週間、パワハラ男の撃退作戦を開始した。ターゲットは統子が勤めていた某会社の課長、島幸輔五十一歳。
統子は元同僚だった女性従業員、数名から島課長からパワハラを受けていなかったか聞き取り調査を行った。最初は渋っていたが徐々にそのパワハラの実態が明らかになって来た。
統子は元同僚にいざとなったら証言して欲しいと頼んだ。
「本当に訴えるつもり? 失敗したら私達会社に居られなくなるわ」
「大丈夫よ。これで私の他に三人が被害にあっているでしょう。物的証拠はないけど四人も被害を受けたと告発すれば会社も黙っていないでしょう。それとどうしても証拠が欲しいなら私の友人、……同盟が証拠を探ってくれるって」
「なにその……同盟って?」
「まぁ詳しくは話せないけど、力になってくれるって」
その失恋同盟は、統子は島課長の写真を手に入れるように頼み、更に行動パターンを統子から私達三人に知らされた。メールには島課長の顏写真と、近日中に居酒屋に向かうことが書いてあった。
「するってぇと金曜日、夜七時頃、部下を連れて大衆居酒屋に行くのだね。分かった私たちは顔を知られていないし、何か情報を聞き出せるかもしれないわね」
統子の話によると、この課長は自分を誇示する為に時々部下を連れて飲みに行くそうだ。奢ってやる変わりに自分の自慢話と自分がいかに優秀であるかを話とか、つまり自己満足の塊だ。こう言う人間に限って自分の上司には服従し、なんとか自分の地位を守っているだろう。その裏返しが部下虐めてうっぷん晴らししているのだろうと。
早速、私こと陽子と千絵と桃子はボイスレコーダーを隠し持って居酒屋に出かけた。一個じゃ心配なので二個用意する念の入れようだ。すると丁度その島という男と部下四人が居酒屋に入って行った。私達三人も出来るだけ近くの席を陣取った。部下はいずれも若く二人が男で二人が女だった。
つづく
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます