第2話 『魔法使い♂と魔剣士♀』
『ギャオオォォオオン?!』
痛みからか
「魔法学院の新入生か⁈」
「はい、
「ありがたい。最近海底のダンジョンの入り口から出現したらしいんだ」
船員はみんな男だ。魔法は魔女しか使えないので、自動小銃や機関銃で断続的に攻撃を仕掛けている。彼女が現れるまでの時間稼ぎをするのが僕の役目だ。「豪炎の壁よ、ここに現れろ――――――ファイアウォール‼」と魔法を再び短文詠唱した。魔銃杖から空薬莢が落ちる瞬間、定期船と
「いい腕前をしているなお嬢ちゃん?」
「それはどうも……船には上級生はいないんですか?」
「ああ……――全員新入生の魔女っ子だけだ」
僕は、魔銃杖を使うのをやめて本気を出すか迷った。ファイアウォールが徐々に勢いを失くしている。そろそろ、次の手を考えなければならない。
「新入生で腕に覚えがありそうな者を連れてきたぞ。え……と、名前は?」
「竜胆ほろびです。目を狙うように指示を出してください」
「あの竜胆?! こりゃ勝ち戦は間違いないな‼」
数名の魔女っ子たちが炎や雷属性の魔法を連発する。威力は魔銃杖と同じかそれ以下だ。本気を出したくても出せないのがもどかしい。早く主役である彼女がやって来ることを願う。もし仮に船が沈没するようなことがあったら、魔法学院入学さえも危ぶまれる。
「漆黒の炎よ、爆ぜろ――――――エクスプロージョン‼」
魔銃杖の銃口から漆黒の炎が飛び立つ。そして
よし、これなら……――彼女が来る前に辛うじて撃退はできるかもしれない。
「切り裂く風よ――――――ウィンドエッジ‼」
「突き刺す氷よ――――――アイシングスピア‼」
「迸る雷撃よ――――――ライトニングボルト‼」
新入生の魔女っ子たちも勢いに乗って、魔法を連発する。だが、
それはすぐさま現実のものとなった。もう一対の
だが、そこに戦闘用のブーツをカツカツと気難しそうな音をさせながら近寄る主役の気配がした。
「ほろび……Cランクモンスターごときに
「爪の鋭さを見せるなと言ったのは姫様だったはずです」
「む?! 姫様……?」
振り向くと絹のような黒髪ロングの黄金律を擬人化したような少女が現れた。姫様――竜胆琥珀は僕の主だ。だが、ムッした不機嫌な表情をすぐに作る
思わず、竜の逆鱗に触れてしまった。ケルベロスの尻尾を踏んだとでもいうのか。
「ほろび……姫様と呼ぶなと……言っているでしょう」
「はい、
「様も要らないわ」
「琥珀……船酔いは大丈夫ですか?」
姫様――竜胆琥珀は、弱々しくうなずく。近くで話を聞いていた魔女っ子が、琥珀の携えている左右の腰に四本ずつ計八振りの魔剣に、目を向けてひそひそ話ながら驚いている。魔銃杖も異端だが、古来から魔剣士も異端とされてきたらしい。計八振りの魔剣は、ラプラスの魔剣だ。魔女の真祖アリスが生きていた時代にエドワード・ラプラスという
「さて、雑魚モンスターはさっさと倒さなきゃね」
「琥珀……援護する」
「これなら船酔いも醒めるかもしれないわね」
瞬間、琥珀の姿が文字通り消えた。気が付いた時には一匹目の
「漆黒の炎よ、爆ぜろ――――――エクスプロージョン‼」
魔銃杖で弾丸を消費し、魔法を放って、もう一匹の動きを
『ギャオオォォオオン?!』
「
八つの光が同時に、二匹目の
竜胆琥珀という魔剣士の芸術品のような強さを見て、心の奥が感動で震えた。
忌むべきである
――――――――――――
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