妖刀使いの少年、刀の扱いに困る

閑話 ある木壁遺跡の話

　少年期亜人教育施設へ新たな亜人の接近を確認。

　親亜人の命名（めいめい）は体内ナノマシンより個体名ハモン、個体名ユウゲンと判明。

　個体名ハモンは情緒（じょうちょ）教育を必要とする年齢、個体名ユウゲンはその期間を過（す）ぎている。

　現在、本施設で寝食（しんしょく）する亜人と同様に雷痣（かみなりあざ）型ナノマシン指令受信部を通して五感（ごかん）に干渉（かんしょう）を開始。

　視覚情報を教育施設へ誤認（ごにん）させる。

　人類社会への帰属意識（きぞくいしき）、忠誠心（ちゅうせいしん）を誘発（ゆうはつ）させる為に日本社会の教育施設の記録から抜粋（ばっすい）。18世紀、19世紀の木造（もくぞう）校舎を再現し施設内の備品も学校設備を選択。

　備品形状との不一致（ふいっち）から完全な木造校舎の再現は不可能。不一致部分は備品形状のまま見た目の材質を木造へ変更する事で対応。

　また、教育装置スリーパーの設置部屋のみ認識改竄（かいざん）を行わない事とする。

　干渉（かんしょう）開始……成功。

　対象（たいしょう）に本施設を木造校舎と誤認（ごにん）させる事に成功。

　また、個体名ハモンより他（た）の亜人へ干渉（かんしょう）する電磁特性を確認。保有する特性の詳細（しょうさい）は検査を要（よう）する。

　尚（なお）、検査する為の人員は確認出来ず。

　現在、施設周辺に人間は確認出来ず。

　イレギュラーな事態として亜人による検査を考案、協力を受け付ける亜人の選出（せんしゅつ）を開始。

　検索完了。

　周辺に存在する亜人は全て知識レベルに18世紀程度の制限を受けており本施設を理解して使用する事は不可能。また制限を受けている為に本施設の使用方法を教育する事は許可出来ない。

　制限解除キーは地球のみ発行可能。

　現在、地球との通信は途絶（とぜつ）。

　結論。

　個体名ハモンの電磁特性は現時点で検査方法が存在しない為、保留（ほりゅう）とする。