第十四幕 木造遺跡の中
ハモンとユウゲンは見た事も無い木造の通路に踏み込んだ。
窓から差し込む
触れると手に返る硬く冷たい感触。指の腹が板の形に合わせて沈む。
「見た目通りの形ではないな」
「何? どういう事だ」
ハモンの背後で腕を組むユウゲンに木目の感触や窓枠の温度の違和感を伝える。
するとユウゲンも複数の
「
「
「馬鹿を言うな。異常事態では有るが
木造の通路は障害物も無く奥に続いている。
通路には
木造の床をブーツで踏めば足音を完全に殺す事は出来ない。
足音は
最初の引戸に手を掛ければ、廊下と同じ
黒板と真逆の壁には
何の部屋かも分からず、
机や椅子に手を伸ばしてみれば、やはり見た目に
椅子は木造とは思えぬ程に軽く、見た目通りの材質でない事は通路の壁と同様らしい。
机は岩の様に動く
人攫いや
人影が無い事を確認しながら通路に戻り、念を入れて全ての部屋を見る。
横道を見れば机や椅子が
ふと横道を過ぎて
「ユウゲン、木の匂いがしない」
「何? ……ふむ。
先程から二人ともこの
最奥の部屋に入る前、人骨の絵や昆虫の
「今の内に聞いておくが、
「ああ」
「何が出来る?」
「火球だ」
「良いだろう。
「
「
先日の
「
「
「
「分からぬ」
ハモンは思わず
相手は最低でも四人。その四人は火や風の理法を使う。
分かっている事はこの二点だけとユウゲンは言う。剣士として命を
ユウゲンも
彼にとってこの程度の
仲間が少ないのは無理も無いとハモンは半目に成ってしまう。
通路に出て、
ここまで
突入の緊張感を
そんなハモンに気付いたユウゲンが不信を覚えたらしい。扉の取っ手に手を掛けて眉を
「人斬りの
「
馬鹿を言うなとハモンが半目に成ればユウゲンも
確かに刀に触れて笑みを浮かべる者を見れば不安も覚えるだろう。
不信に目を
扉の奥もやはり
今までの個室と
そんな部屋の奥、窓と同様に
硝子壁の奥だけが木造ではない。
継ぎ目の無い真っ白な壁、ハモンの知る遺跡の様子に
椅子と
硝子壁の手前、机や椅子に座る
数は六。全員が
ハモンは踏み込んだ。
室内を観察する余裕は脳内から消し飛んでいた。
ただ最速で扉に近い白装束に
余裕の見えないハモンにユウゲンも直ぐに室内に踏み込んだ。
切断された白装束の肉体の隙間からハモンの顔を見た生き残りが目を
突然の侵入者と現実味の無い
「あれは
「知るか!」
「北の支部が存続不明だった
最低でも四人は
残り五人の白装束へハモンが迫る。
刺した
室内に二人分の血が
その内の一人にユウゲンが
狙っているのは部屋の最奥に居る白装束。
ハモンが四人目を切り伏せる間に首を
残るは一人。
ハモンの顔に冷静さは見られない。無表情だが確かな
ただ最後の一人は五人が無力化される間に反撃の体勢を整えていた。
右手首の腕輪をハモンに向ける。白装束の指先に火が
今まで何度も
そんな火矢を
上段から振るわれた刀身が火を左右に
「馬、鹿な」
大の男の体を切断し、首を
何者の
ただ硬いだけでは説明出来ぬ
腹を刺された白装束の男が宝を見つけた様にその刀身を掴む。
「
刀身を横に振り抜き腹を裂く。
刻まれた切口から
白装束は全員が倒れた。
それでも木造の通路、部屋に変化は無い。
この
ユウゲンがそう確信する中、ハモンは彼が気絶させる白装束への殺意を
気絶した男への殺意を収めたハモンは
「
「ああ。殺すなよ」
ハモンを
ユウゲンの
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