第十三幕 尾行の最中
ユウゲンからハモンへの依頼は直ぐに来た。
イチヨと共に外出してからハモンの家族の事は話していない。両親を失って
最近、白革羽織は
「てな訳で、
ユウゲンの姿では目立つと仮面や群青革羽織は
彼に呼び出されたハモンは真夜中の
聞けば
ゲンの言い分を聞くに
帝国が商人に発行する手形の重みが分からないハモンは下手な質問はしなかった。分からない事は分からないままで良いと割り切り自分の仕事に集中する。
「
ゲンの言葉に
こんな仕事までするのかと岡っ引きに同情したハモンだが、どうにも岡っ引きではないらしい。以前にハモンに
陽が
人攫いが居ると分かって
同意する様にゲンも拳に力を込めている。帝都の
「さって、こっから近場の山に入るぜい」
ハモンには
帝都から東へ
ハモンは特に疑問を持たず
「今更なんだが」
「うむ。
「二人で
「案ずるな。踏み込むのが
安心する要素が見えないまま山に入った。ハモンの白革羽織が目立つので念の為に
帝都、街道、山と短時間で植物量の変化に鼻が反応しくしゃみを
野犬や
四人全員が
木と
「聞きたかったのだが」
「無駄話か?」
「ここならば見つからんだろう。白の羽織に思い入れでも有るのか?」
「貰う予定だった」
意味を成さない返答をしたハモンが白革羽織を
最低限、聞く者が悪い想像を掻き立てられる返しを意識したのは事実だ。
ユウゲンも気持ちの
「今後も聞かぬ方が良いか?」
「そうだな」
ユウゲンも無神経だと自覚しているらしい。ただハモンには遠回しな聞き方では通じないと判断して言葉を選ばなかった様だ。
二人の見ている前で
そのまま
先を行くユウゲンの後に続く形でハモンも洞窟に近付く。時を置いたのは何かしらの意図が有るのだろうと
そんな風に観察していたハモンはユウゲンの後に続き可能な限り足音を殺して歩く。
ハモンの国で
人の
念の為に
そんなハモンを見てユウゲンが感心している。
「慣れておるな。旅の経験か?」
「そんなところだ」
国の遺跡に辿り着くまでの苦労を思い出す。
見落とした横道から現れた
腰に
いずれ失う日が来る。
失う為に旅を続けている。
それでも手放したくない自分の
何事かと思いハモンもユウゲンの手振りに合わせて
口の前に指を立てたユウゲンが小声で話す。
「奥を見る。
ハモンは
奥に進むユウゲンを見送れば、数歩でユウゲンが立ち尽くした。
声を掛けて
足音に注意してハモンもユウゲンの横に進み洞窟の奥、謎の光源を見る。
細い木の板が
その窓の外、青い空から真昼の陽光が洞窟に差し込んでいた。
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