第四幕 妓楼仕事の中
ハモンは初日から高圧的な客を追い払ったり、支払いを踏み倒そうとする客を脅したりと活躍している。基本的に無表情なハモンに
実は太夫とは何か知らないハモンは自身を
イチヨもスイレンの言っていた通り妓楼を手伝う
数日の間に『イチヨちゃん』『イッちゃん』と親しみを込めた呼び名も定着した。やはり何かさせるのは正解だったとハモンは胸を撫で下ろしている。
そんなある日、ハモンは連日の通り用心棒の仕事を
遊女の一人が日中に来店を取り付けた客、だった
この男、店に来るところまでは良いが
夜の人混みで
その背後、人を掻き分ける苦が無いハモンが続く。
西色通りは帝都内部でも西部の
だから西色通りの内部で
走りながら身を低くして
「
痛みに
倒れた
「あだだだだだっ!」
「奪った
「み、見逃してくれようっ! もう二日も何も喰ってねえんだ!」
「
片手で盗人の両手を掴み上げ空いた手で零れた銭を拾い上げる。
「まずは店に来て貰う。盗まれた
「い、嫌だ! 取った以上の
「盗んだお前が悪い」
気乗りしない仕事ではあるがスイレンが示した
それでも嫌な仕事に変わりはないので
「はい、これで全額です」
「お兄さんありがとっ。助かっちゃった」
「仕事だ。それより
「うんうん、呼んでるよ。今に来てくれる
「引き渡すまでは付き合おう」
「キャー、お兄さん後でアタシと飲まない? たっぷり気持ち良くしてあげるよ」
自分の指を舐めて
ただ
そんな勘定場の奥で何かを倒した音がした。直後に
「ありゃ、イチヨちゃん驚かせちゃった」
「後で話しておく」
「お、
これ以上は付き合い切れないとハモンが肩を
そんな風に待っていると店の者に呼ばれた
やって来た岡っ引きは三人。
ジーンズ、チノパンと服装は
そんな中、まとめ役らしい先頭の一人は
体格は良く周囲の男たちよりも頭一つ
だが目立つのはそこではない。
この男の顔、目元が隠されている。
左右に
そして面の材料が分からない。
木を白い
外観からどの様な素材で作られたのか分からない不思議な仮面だった。
「あら、ユウゲン様。来てくださったんですか?」
「ああ。
「ええ、ええ。銭は奪い返したんでどうぞ連れてって下さい」
ユウゲンと呼ばれた岡っ引きとのやり取りは店の事を分かっている遊女が行う。
ハモンも岡っ引きに
「協力感謝する。最近、西色通りで有名な白革羽織の剣士か」
「……有名?」
「誰にも
「ハモンだ。この店で
「む?
「……太夫とは何だ?」
「
「ああ」
「そうか。太夫については店の者の方が詳しかろう。
「あ、ユウゲンさんユウゲンさん、今度はアタシを買ってくださいね?」
「こら
ユウゲンという男は硬い口調の割に
それだけ覚えてハモンは勘定場の内側、銭のやり取りをする娘の横に戻る。
考えてみれば岡っ引きは
貴族軍人殺害の
ただもう知り合ってしまった。
何か有ればその時はその時。
そう切り替えてハモンは
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